(4)鼻欠損(びけっそん)

(1)病態

ヒトの外貌は、眼瞼と鼻そして口唇で成り立っており、個人の個性を表しています。
その鼻が欠損するのですから、被害者の精神的な苦痛も大きく、相当に深刻な外傷です。
形成術は、日進月歩ですが、完全な回復は、とても期待できません。
ところが、後遺障害としての評価は、意外に低いのです。

(2)後遺障害のポイント

1)鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すものは、9級5号が認定されています。
鼻の欠損とは、鼻軟骨部の全部、または大部分の欠損をいいます。
機能に著しい障害を残すものとは、鼻呼吸困難、または嗅覚脱失をいいます。

2)鼻の欠損は、耳と同じく、外貌の醜状としてとらえることができます。
鼻軟骨部の大部分欠損であれば、男女とも、外貌の醜状で7級12号に該当します。
このとき、先の9級5号と併合にはならず、上位等級の7級12号の認定となります。

等級 鼻の欠損の後遺障害 自賠責 喪失率
9 5:鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの 616 35
鼻の欠損とは、鼻軟骨部の全部、または大部分の欠損をいいます。
機能に著しい障害を残すものとは、鼻呼吸困難、または嗅覚脱失をいいます。
7 12:鼻の欠損は、外貌の醜状では、7級12号となります。 1051 56

過去に1例のみ、トラックの炎上による熱傷を伴っていましたが、7級12号を獲得しています。