(1)病態
ヒトの外貌は、眼瞼と鼻そして口唇で成り立っており、個人の個性を表しています。
その鼻が欠損するのですから、被害者の精神的な苦痛も大きく、相当に深刻な外傷です。
形成術は、日進月歩ですが、完全な回復は、とても期待できません。
ところが、後遺障害としての評価は、意外に低いのです。
(2)後遺障害のポイント
1)鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すものは、9級5号が認定されています。
鼻の欠損とは、鼻軟骨部の全部、または大部分の欠損をいいます。
機能に著しい障害を残すものとは、鼻呼吸困難、または嗅覚脱失をいいます。
2)鼻の欠損は、耳と同じく、外貌の醜状としてとらえることができます。
鼻軟骨部の大部分欠損であれば、男女とも、外貌の醜状で7級12号に該当します。
このとき、先の9級5号と併合にはならず、上位等級の7級12号の認定となります。
等級 | 鼻の欠損の後遺障害 | 自賠責 | 喪失率 |
9 | 5:鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの | 616 | 35 |
鼻の欠損とは、鼻軟骨部の全部、または大部分の欠損をいいます。 | |||
機能に著しい障害を残すものとは、鼻呼吸困難、または嗅覚脱失をいいます。 | |||
7 | 12:鼻の欠損は、外貌の醜状では、7級12号となります。 | 1051 | 56 |
過去に1例のみ、トラックの炎上による熱傷を伴っていましたが、7級12号を獲得しています。