(2)頭部裂創・切創

1)病態・症状と治療

頭皮の7mmほど下には帽状腱膜と骨膜に覆われた頭蓋骨があり、頭部裂創・切創では、腱膜まで切れてしまうことが大半で、そうなると、縫合が必要になります。
頭皮は、血流が良いこと、薄く突っ張っている特性から、大量に出血しやすいのです。

現在、頭皮では、剃毛、麻酔なしで、ステープラ、ホッチキスのような縫合機が使用されています。
通常は、1週間後に抜糸、抜鉤されています。

ステープラ

2)後遺障害のポイント

広範囲な挫滅創※で、頭部に手のひら大の瘢痕を残したときは、醜状痕として7級12号、鶏卵大以上の瘢痕となると12級14号が認定されますが、これは例外的です。
頭皮の縫合で、後遺症を残すことは、まず、ありません。

ただし、頭髪の薄くなった高齢者の擦過傷では、鶏卵大以上の擦過痕が残り12級14号が認定された経験則があります。田舎道を自転車で走行中、自動車との衝突で、稲刈りの終わった田んぼに跳ね飛ばされたもので、稲わらの切り株で頭部を擦過し、目立つ擦過痕が残りました。
受傷から180日を経過した時点で後遺障害診断を受け、等級を確定させています。

※挫滅創
形成外科では、創傷を以下の5つに分類しています。
①.切創(切りキズ)
②.擦過傷(すりキズ)
③.挫創・挫滅創
④.刺創(刺しキズ)
⑤.咬傷(咬みキズ)

交通事故では、大半が、切創、擦過傷ですが、挫滅創は、えぐれるようなキズのことで、体表が、摩擦による損傷を受けて真皮や、皮下組織にまで拡大している状態のことをいいます。
絆創膏を貼る程度のキズではなく、縫合術が必要なレベル、また、縫合術も困難な状態です。