(4)頭蓋骨骨折

頭蓋骨骨折
A:陥没骨折 B:線状骨折
頭蓋骨は、身体の他の部位の骨が関節を形成したり重力に対して体を支えたりしているのとは違って、脳を格納し、脳を守る容器としての役割を果たしています。
頭蓋骨骨折は、見過ごすことのできない外傷ですが、すべてが重症化するのでもありません。
ポイントは、頭蓋骨骨折に伴って、脳損傷を発症しているか、どうかにあります。
頭蓋骨骨折の衝撃で、脳損傷をきたすことも多発していますが、脳損傷に至らないこともあり得ます。
逆に、頭蓋骨骨折がないときでも、びまん性軸索損傷などの重篤な後遺障害を残すことがあります。

頭蓋骨骨折には、以下の3つの病態があります。

  1. 線状骨折
  2. 陥没骨折、頭蓋骨が内側に凹んでいる骨折です。
  3. 頭蓋底骨折、頭蓋骨の底辺部の骨折です。

①頭蓋骨線状骨折

直接的な衝撃で、頭蓋骨に線状のひびが入った状態です。
頭蓋骨は、脳を守る格納容器であり、線状骨折そのものが、手術の対象になることはありません。
しかし、線状骨折するほどの衝撃を受けており、脳に対する影響が大きく問題視されるのです。
XP撮影で線状骨折が診断されたときは、頭部CT検査が行われ、脳損傷の有無が確認されています。

②頭蓋骨陥没骨折

頭部に対する直接的な打撃で、頭蓋骨が内側に陥没する骨折で、線状骨折に比較して重症です。
頭蓋骨陥没骨折では、頭蓋骨の内側に髄膜に包まれた脳が存在しており、陥没のレベルに応じて脳が圧迫・損傷を受ける可能性が高まります。
XP撮影で陥没骨折と診断されたときは、頭部CT検査で脳損傷の有無が確認されています。

内側に陥没した頭蓋骨が、脳に圧迫や損傷を与えているときは、以下のガイドラインにより、陥没骨折整復術が行われます。

※1cm以上の陥没
※前額部など、審美的に容認しがたい頭蓋骨変形が認められるとき、
※硬膜の静脈や静脈洞を圧迫しているとき、

骨片が3つ以上に分かれると、粉砕骨折と診断されます。

骨の陥没

陥没骨折、粉砕骨折で、頭皮が破れ、骨折部と外界が繋がっている開放性陥没骨折では、12~24時間以内に適切な処置をしないと、感染の危険性が増大します。

被害者がお子様、あるいは成人であっても、傷病名に頭蓋骨陥没骨折がないとき、事故後の意識障害も軽度であるときは、過剰な心配をすることもありません。
治療は、抗痙攣剤の内服と3、6カ月ごとの脳波検査によるチェックが続けられます。

  1. 将来、外傷性てんかん発作を発症する可能性があること、
  2. 脳波の安定が得られるまでは、抗痙攣剤を内服し続けなければならないこと、
  3. この内服が、なん年続くのかは、不明であること、
  4. 内服していても、てんかん発作を起こす可能性のあること、
  5. 抗痙攣剤の内服を続けている期間は、妊娠を避けなければならないこと、
  6. 小児科、あるいは脳神経外科の主治医は、予防的に起こりうる可能性のすべてを説明するのですが、私の経験則で想定する限り、頭蓋骨陥没骨折以外では、てんかん発作の発症はありません。

    ③頭蓋底骨折

    頭蓋底骨折は項を改めて解説しております。