(8)頚椎捻挫に伴うその他の症状

この3年間で、中心的な傷病名が頚椎捻挫であっても、排尿障害の症状があり、尿管カテーテルで強制導尿を実施している被害者に11級10号が、嗅覚の脱失で12級相当が認定されています。

1)頚椎捻挫と排尿障害

自転車と2トンとラックの出合い頭衝突で、それなりに大きな衝撃が推定されたのですが、被害者の訴えは、頚部痛でも上肢のしびれでもなく、排尿障害です。
受傷直後から尿閉となり、尿管カテーテルで強制導尿を実施しなければならなくなったのです。

当初、中心性頚髄損傷を強く疑ったのですが、MRIにより、それは否定されました。
やむを得ず、ウロダイナミクス検査を受け、尿道括約筋の異常については、立証できました。

ただし、本件交通事故との因果関係は立証できていません。
被害者請求では、認定結果が出るまでに6カ月を要しましたが、11級10号が認定されました。

2)頚椎捻挫と嗅覚の脱失

これも岐阜県の山間部で発生した交通事故で、乗用車に4トンとラックが追突したものです。
初老の被害者に、頚部痛や上肢のしびれ感の訴えはなく、臭いを感じなくなったことと、味が分からなくなったことの2点です。嗅覚は、T&Tオルファクトメータ検査により、脱失を立証できました。

T&Tオルファクトメータ検査

味覚は濾紙ディスク法による最高濃度液検査を受けました。
甘味・塩味・酸味・苦味の4つの基本味質の1質以上を認知できない味覚の減退が立証できました。
やはり、本件事故との因果関係は立証できていません。
被害者請求から1年間を要して、併合12級が認定と通知されました。
悩みに悩み抜いて認定してくれた印象です。

事故直後から、一貫した自覚症状の訴えがあり、症状固定まで継続していて、原因は特定できなくとも、自覚症状が検査で立証されていれば、Giroj調査事務所は等級を認定しています。
被害者救済を掲げるHPのほとんどは、損保料率機構の認定に懐疑的、否定的な意見を展開していますが、全国レベルで多くの案件を手掛けるNPOジコイチは、「よくぞ、認定してくれた!」 評価すべきは評価しています。