(5)頚椎捻挫 Q&A

Q1 事故から2カ月経過しています。
MRIの撮影を受けたのですが、医師よりは、外傷性の異常はないと言われています。
どう対処すればいいのでしょうか?

A事故直後から、左もしくは右の頚部・肩~右上肢・手指にかけて重さ感、だるさ感の症状が出現していれば、C5/6もしくは6/7の左右に一致して、末梢神経の通り道が狭められているか、あるいは圧迫されている画像所見が、必ず得られるものです。
ただし、その画像所見は、外傷性の画像所見ではなく、年齢変性なのです。
医師は、外傷性所見ではないので、異常なしと診断しているのです。

ところが、後遺障害では、年齢変性であっても、自覚症状に一致していれば、有力な所見と判断しており、等級が認定されています。 しかし、まだ、症状固定の時期ではなく、ここで、あれこれ医師に意見をすると、嫌われて、症状固定となったときに、協力が得られなくなります。
自覚症状に一致した年齢変性があるかに限って、やんわりと確認しておけば、今は、十分です。

Q2 医師にMRIの撮影をお願いしたのですが、必要ないとして撮影を許可してくれません。
どうしたらいいのでしょうか?

A 医師は、診断権を有しており、患者からは独立した存在です。
患者から、あれこれ指図されるのを嫌う傾向です。
したがって、医師になにかをお願いするときは、第三者を間に挟む話法を用いなければなりません。
「親しくしている保険代理店から、MRI検査を受けておくように言われていますので、先生、ご手配を宜しくお願いします。」
これでも、首を縦に振らないときは、別の整形外科・開業医に転院することになります。
このときも、前の医師には、なにも言いません。
紹介状も必要ありませんから、黙って、転院すればいいのです。

Q3 受傷から6カ月が経過し、症状固定のタイミングとなりました。
医師に後遺障害診断をお願いするのですが、なにを書いてもらえばいいのでしょうか?

A 医師は、診断権を有しており、作成した後遺障害診断書の訂正には、応じないのが一般的です。

完成した後遺障害診断書ですが、具体的な検査による立証がなく、記載も曖昧、なおかつ、訂正にも応じてくれないでは、お手上げ状態となり、肝心の後遺障害を諦めることになります。
通常、症状固定までには6カ月以上の通院治療を継続します。
この期間に、医師との人間関係を形成し、機先を制する形で、認定基準に準拠した理想的な後遺障害診断書のドラフトを提示して作成をお願いすることが好ましいのです。
経験則では、内容に、虚偽や誇張がなければ、ほぼ同じ内容の後遺障害診断書が作成されます。
多くの医師は、治療に関係しないので、自賠責保険の後遺障害認定基準を学習していません。
検証するだけで、面倒な後遺障害診断書が完成するのですから、意外に、歓迎されています。

受傷から2、3カ月の段階で、毎月、全国で開催している交通事故無料相談会に参加してください。
診断書、診療報酬明細書、画像などをチェック、症状固定までのスケジュールを指示し、必要があれば、チーム110が治療先同行してサポートを行います。

Q4 私は、弁護士費用特約に加入しているのですが、どのタイミングで弁護士にお願いすればいいのか、また、弁護士選びのポイントがあれば、お教えください。

A 弁護士を選任すると、相手の損保は、あなたに電話すること、面談することができなくなります。
弁護士は、法定代理人ですから、全て、弁護士を通じての連絡となるのです。
ですから、弁護士を入れるタイミングは、受傷後、比較的早い時期がベストと考えています。

NPOジコイチが全国で開催している交通事故無料相談会には、弁護士がボランティア参加しており、 いずれも、年間に100件以上の交通事故案件を受任している専門家ばかりです。
無料相談会に参加され、弁護士の顔を見て相談されては如何でしょうか?

Q5 信号待ちの停止中に、後方から追突を受け、頚椎捻挫と診断されました。
受傷から2カ月を経過し、症状は改善しつつありますが、右上肢と手指にだるさ、重さ、しびれを感じています。損保からは、3カ月で打ち切りを打診されているのですが、今後の対応について、どうしたらいいのか、お教えください?

A 頚椎捻挫では、末梢神経障害が後遺障害の対象となります。
右上肢と手指にだるさ、重さ、しびれを感じておられるとのことですが、その症状が正に、末梢神経障害によるものと予想されます。短期的に改善することは期待できないので、いずれにしても、あと4カ月、受傷から6カ月の治療を積み上げて、後遺障害診断を受け、被害者請求で申請することになります。

損保に対しては、現在の症状と、頚部のMRI所見を伝え、3カ月で治療を打ち切ることは困難であると伝えることになりますが、それでも、損保が治療の打ち切りを強行したときは、緊急避難的に健康保険を適用して、受傷から180日まではリハビリ通院を継続します。
180日を経過しないことには、後遺障害の申請ができないからです。
頚部のMRI撮影が未実施のときは、医師に手配をお願いしてください。

その上で、症状固定までは、
①できるだけ早く、頚部のMRI撮影を受けること、 C5/6、6/7の右側に年齢変性所見が認められるときは、その内容をメールでお教えください。

②6カ月間で60回以上、整形外科・開業医でリハビリ通院を積み上げておくこと、

③紳士的、常識的で信憑性が感じられる療養態度であること、

④後遺障害の獲得を目指すのであれば、整骨院、接骨院で施術を受けないこと、

⑤MRIのCDを持参して、交通事故無料相談会に参加してください。
ONISのソフトで画像分析を行い、詳細をお教えします。

Q6 ムチウチでこの6カ月間、会社を休んでいるのですが、損保が休業損害を払ってくれません。
どのように請求すればいいのでしょうか?
やはり、弁護士を立てないと支払われないのでしょうか? お教えください。

A 辛口で済みませんが、あなたは、これまでに打撲や捻挫で半年も会社を休んだことがありますか?
おそらく、そんなことはあり得ないことだと推測しています。
会社を休むのは、あなたの勝手ですが、休業損害を損保に請求しても絶対に支払われません。
弁護士が損保と交渉しても、間違いなく門前払いです。
コンチクショーで裁判を起こしても、高い確率で否定されると予想しています。

頭部外傷後の高次脳機能障害であれば、どちらの損保も1年間の休業損害を黙って支払っています。
休業と傷病名には、やはり、それなりの因果関係が存在しています。
ムチウチで6カ月間の休業は、いずれにしても、被害者として非常識ですから、休業損害が支払われることも、後遺障害が認定されることもありません。