(10)角膜上皮剥離(かくまくじょうひはくり)

後遺障害を残しません。

眼の構造

(1)病態

角膜とは、眼球の正面に見える黒目を覆う透明な膜です。
虹彩と水晶体を保護し、光学レンズとしての働きも有しています。

角膜の構造は、表面から上皮、実質、内皮に分かれ、角膜上皮は、外気に晒されており、角膜を外界から守るバリアとしての働きと、酸素を取り入れる働きがあります。
角膜実質は、最も厚い層ですが透明であり、光をそのまま通すことができます。
角膜内皮は、眼球内の房水という栄養分に富んだ水を実質部分に供給しています。
角膜は、ゴミなどによる刺激や、微生物による感染を受けることがあり、外傷で角膜の透明性が失われ、また変形すると視覚に障害を残します。

(2)症状

角膜の外傷では、強い眼の痛みを伴います。
角膜上皮剥離ですが、皮膚の擦り傷と同じで、黒目に直接、モノが当たり、あるいは、突き刺さり、角膜の上皮が剥がれた状態を角膜上皮剥離と呼んでいます。

交通事故、特にバイクの運転中、まぶたを閉じる間もなく電柱などに激突する、装用しているメガネのグラスが破損して飛び散る、コンタクトにより傷つけることで発生しています。
私の経験では、バイクで転倒した際に、栗のイガが眼に刺さった、自動車を運転中に、蜂が飛来し、メガネと眼の間に閉じ込められた蜂が、パニックとなり、目を刺されたがあります。
蜂で眼を刺されたは、偶然・急激・外来の要件を満たしており、人身傷害保険で補償されます。

角膜の上皮は、外力に対して弱く、容易に傷つき、一部が剥がれたりするのです。
症状は、痛みが強く、涙が止まらない、モノが見えない、異物感があり、まぶたを開けることができない、眩しさを感じるなどの症状が出現し、大騒ぎとなります。

(3)治療

一方で、角膜上皮は再生力が非常に強く、小さな傷であれば2~3時間で治ることもあります。
ビタミンB2の点眼は、この再生力を促進させる働きがあります。
感染症予防の必要から抗生剤の点眼も行われています。

(4)後遺障害のポイント

角膜上皮に限定された外傷であれば、後遺障害を残すことなく治癒します。