(7)脊髄の後角障害=後根障害

1)病態

先に、頚髄前角部の損傷である前角障害、前根部の損傷である前根障害を説明していますが、本症例は、頚髄の後部に位置する後角部あるいは後根部が損傷したものです。
脊髄損傷のカテゴリーであり、外傷性頚部症候群、ムチウチではありません。

後角部には、感覚性の神経細胞が多数集合しており、触覚、姿勢、痛み、温度などの感覚情報の信号を身体各部から脊髄に伝えています。
後根障害では、全ての感覚線維が障害されるのですが、温・痛覚障害を残すものの、触覚は侵されることが少ないと報告されています。

2)症状

後根は、脊髄神経の内、感覚神経が脊髄に入り込む神経根であり、体性感覚または内臓感覚の情報がここを通って中枢にもたらされています。
後根が障害されると、身体の一部分の体性感覚が麻痺し、神経根痛を発症します。

※体性感覚?
目・耳・鼻・舌などの感覚器以外で感知する感覚のことで、触覚、痛覚などの皮膚感覚、筋の収縮状態を感知する深部感覚、内臓の痛覚などを体性感覚と呼んでいます。

交通事故における受傷機転や症状、治療法については、経験則がなく解説ができません。
後遺障害の立証は、前角障害、前根障害に同じです。