(11)肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)

肩関節の構造

(1)病態

治療先発行の診断書に、肩関節周囲炎と記載されていれば、「あなたが訴える肩の痛みは、いわゆる五十肩ですよ。」 このような烙印が押されたことになります。
これでは、なんと訴えても、肩の痛みや可動域制限で後遺障害が認定されることはありません。
なんで、どうして? 五十肩の痛みは、いずれ治癒するからです。

肩関節周囲炎、いわゆる五十肩は、50代を中心とした40・50・60代の中年以降に、肩関節周囲組織の年齢性変化を基盤として明らかな原因なしに発症するもので、肩関節の痛みと運動障害を認める症候群と定義されており、私も63歳で、左肩関節周囲炎となり、ほぼ1年間、これで苦しみました。

肩関節は上腕骨、肩甲骨、鎖骨の3つの骨で支えられており、肩を大きく動かす必要から、肩甲骨関節窩が小さく、上腕骨頭のはまりが浅い構造となっています。
構造的に不安定なところを関節包や発達した腱板などで強度を高めているのですが、そのためか、肩の酷使によって炎症や損傷が起こりやすく、痛み、可動域の制限が起こると考えられています。

肩関節の炎症は、肩峰下の滑液包や関節周囲の筋肉に広がることがあり、このような肩関節周囲炎を狭義の五十肩と呼んでいるのです。

(2)症状

肩関節周囲炎の症状は、①急性期、②慢性期、③回復期の3段階に分かれます。
急性期の症状ですが、発症してから2週間までを急性期といい、運動痛だけでなく、安静にしていても、夜間でも、肩に痛みが現れます。このとき、肩の痛みで、あまり動かすことを怠ると、肩の可動域が、徐々に制限される原因となります。
慢性期の症状では、肩の痛みは徐々に軽減します。しかし、この時期は、まだ肩の可動域が狭い状態で、慢性期が6カ月ほど経過すると、回復期に入ります。
回復期では、関節の痛みや動きが徐々に軽快していきます。
痛みや肩の可動域がほぼ元通りになるには、1年前後を要するといわれています。

(3)検査・治療

肩関節周囲炎の検査では、XP、MRI、超音波検査が実施され、これらの検査によって、骨腫瘍や石灰沈着性腱板炎など、他の病気の可能性が否定されたときに、確定診断されています。

肩関節周囲炎の治療には、保存的療法と手術の選択ですが、大多数は、痛み止めなどの薬物療法、保温などの生活上の注意、リハビリの保存療法で、改善が得られています。
肩関節周囲炎を放置して肩の関節が癒着して拘縮したときは、無理に動かすと、肩の腱板の損傷がひどくなることもあります。肩に疼痛、可動域制限が生じているときは、整形外科を受診すべきです。

(4)後遺障害のポイント

「確かに私は50代ですが、事故以前には肩の痛みを感じたことはなかった?」
「それなのに、肩関節周囲炎=五十肩で片付けられるのは納得がいかない?」

貴方が、こんな気持ちなら、即、行動すべきです。
スポーツ外来、肩関節外来を設置している医大系の整形外科をネット検索し、受診するのです。
MRIやエコー検査が実施され、専門医が肩の器質的損傷、つまり、腱板損傷、関節唇損傷や肩関節の後方脱臼を診断すれば、先の不満はたちどころに解消されたことになり、6カ月の治療後に、堂々と後遺障害を申請することになります。
真面目な検査と診察が行われ、原因不明のときは、五十肩でキッパリと諦めることです。

中国の思想家、王陽明は、「知行合一」を唱えています。
知ることと、行うことは、実は同じことで、行動や実践を通じて身につくのが本当の知識であり、逆に、頭の中にあっても、それが仕事や生活で役立たないのであれば、本当に知っていることにはならないと諭しているのです。交通事故の被害者となったときは、知行合一でありたいものです。