(31)肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)

肘部管症候群

(1)病態

尺骨神経麻痺ですが、尺骨神経が、肘部管というトンネルの中で絞扼・圧迫されているところから、肘部管症候群をいわれています。
肘の内側のくるぶし=上腕骨内上顆の後ろ、体表に近いところに、尺骨と滑車上肘靭帯で形成された肘部管というトンネルがあり、このトンネルの中を尺骨神経が通過しています。
トンネル内は狭く、ゆとりがないため、外傷による打撃、圧迫、引き延ばしで、神経麻痺を発症します。

(2)症状

小指と環指のしびれ、痛み、握力の低下などを訴え、肘を曲げると、先の症状が増強します。
肘部管症候群が進行すると、薬指と小指が完全に伸ばせなくなり、手の骨間筋が広範囲に萎縮し、手の骨が浮き出る鷲手変形をきたします。箸を持ち難い、ボタンが掛けられない、顔を洗うとき、手で水をすくうことができないなど、QOLに大きなな支障を生じることになります。

骨間筋萎縮

(3)治療

XPでは、肘の外反変形や関節裂隙の狭小化などが確認されます。
触診では、チネルサインとフロメン徴候がチェックされています。
チネルサインとは、肘の内側のくるぶしの後ろを軽く叩く検査で、小指と環指の一部にしびれや痛みが走れば陽性となります。フロメン徴候では、両手の親指と人差しで紙を挟んでもらい、医師が簡単に引き抜くことができれば陽性です。
他に、エコー、MRI、神経伝達速度、針筋電図検査などが行われています。

チネルサイン
チネルサイン

フロメン徴候

フロメン徴候

治療では、まず、保存的に鎮痛消炎剤、ビタミンB12の投与と、安静加療で経過観察となります。
肘を曲げないこと、とくに、頬杖はつかないように指導されます。
改善が得られないときは、手術が選択されます。
手術は、絞扼・圧迫を受けている部位、状況で異なりますが、以下の3つが行われています。
①オズボーンバンド=腱弓の切開、
②尺骨神経溝、つまり、骨の溝を削って深くする方法
③尺骨神経の前方移行術
①②では、オペ後7日間程度、肘が固定されます。
③では、皮下前方移行術で3週間程度、筋層下前方移行術で1カ月前後、肘は固定されます。

(4)後遺障害のポイント

後段の尺骨神経麻痺で、まとめて解説しています。