(3)耳垂裂(じすいれつ)

(じすいれつ)

(1)病態

交通事故により、ピアスなどで耳を引き千切られたものは耳介裂創と診断されますが、それよりも小規模で引き裂けたものは、耳垂裂と診断されています。
耳垂裂では、組織が残っていることがほとんどで、修復、形成は容易で、後遺症を残しません。

(2)治療

耳介が引き千切れたときも、事故直後に対応され、その部分が小さければ、そのまま縫合できます。
また、大きくても顕微鏡下の手術で血管を縫合できれば、再接着します。
他にも、いくつかの形成手術の方法があり、形成外科の専門医を受診しなければなりません。

耳介血腫、耳介裂創における後遺障害のポイント

1)後遺障害を残すのは、以下のパターンです。
頭部外傷、意識喪失、瞳孔散大では、ICUで、頭部外傷の治療が優先され、耳介血腫や耳介裂創は、止血処置のみで放置されています。
自賠法では、耳介軟骨部の2分の1以上を欠損したものは、耳殻の大部分の欠損に該当し、12級4号が認定されています。これは、1耳を想定していますから、両耳では、併合で11級が認定されます。

耳殻の大部分の欠損

ただし、醜状障害で捉えると、おそらく9級16号に該当します。
いずれか上位の選択となりますが、醜状障害では、両耳であっても併合はありません。
耳殻の2分の1に達しない欠損でも、外貌の醜状に該当すれば、12級13号となります。
醜状障害として請求することを覚えておいてください。

3)耳垂裂では、後遺障害を残しません。