(73)足趾 種子骨々折(しゅしこつこっせつ)

種子骨々折

(1)病態

種子骨は、親趾付け根裏の屈筋腱内にある2つの丸い骨であり、種子骨の周辺には筋肉や腱が集まり、これらの筋肉や腱が効率よく動くことを助けています。
種子骨の骨折は、歩行中に交通事故による外力で踏み込みが強制されて、母趾球を強く打撲したときに発生しています。

(2)症状

直後は激痛を感じますが、しばらくすると痛みは和らぎます。
症状が進行すると足を地面につけただけでも痛みがあり、歩行も困難になってきます。

(3)治療

足を安静下におき、足の裏にかかる負担を軽減するために柔らかい素材のパッドを靴の中に入れて使用します。パッドは母趾球部がくり抜かれており、体重をかけたときに圧力がかかりません。
大多数は、改善しますが、効果が得られないときは、手術で内側の種子骨を摘出しています。

(4)後遺障害のポイント

1)打撲や捻挫の傷病名で、後遺障害が認定されることはありません。
損保では、DMK136という言葉で語られており、D打撲は1カ月、Mムチウチは3カ月、K骨折は6カ月をおおよその治療の目安としているのです。
したがって、DMK136のままでは、後遺障害どころではなくなるのです。
脱臼や骨折、靱帯断裂など、器質的損傷をCT、MRIの撮影で立証しなければなりません。
もちろん、受傷から2カ月以内に撮影しないと、事故との因果関係の立証が困難となります。

2)足指の機能障害は、手指よりも厳しい審査基準であることを承知しておくことです。
手指では、MCP・IP・PIP関節が健側に比して2分の1以下に制限されていることが、関節機能障害の認定要件でしたが、足趾では、このルールが適用されるのは親趾と第2趾だけです。
第3~5趾は、完全強直もしくは完全麻痺でないと、等級の認定はありません。

第5趾の中足骨粉砕骨折により、第5趾のMTP関節が2分の1以下に制限されても、これは、認定基準に達しておらず、非該当になり、無駄な立証努力となります。

※足指の関節
親指では、指先に近い方からIP、MTP関節、その他の足指にあっては、趾先に近い方からDIP、PIP、MTP関節、これが手指となると、親指では、IP、MCP関節、その他の手指にあっては、指先に近い方からDIP、PIP、MCP関節と呼ばれています。

3)現実的には、足趾の後遺障害は関節の機能障害よりも痛みの神経症状で14級9号、12級13号の獲得を目指すことが多くなります。
12級13号であれば、骨癒合の不良もしくは変形癒合を緻密に立証しなければなりません。
2方向のXPだけでなく、3DCTによる立証が有用です。

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