(24)橈骨頭・頚部骨折(とうこっとう・けいぶこっせつ)

橈骨頭・頚部骨折

(1)病態

肘関節周囲骨折では、最も多い骨折であり、交通事故では、腕を真っ直ぐに伸ばしてバイクを運転中の事故受傷で発生しています。手をついたときの衝撃が、肘に伝わることで、骨折するのです。
最近では、スノーボードの転倒事故で、この傷病名が多発しているとネット論文で報告されています。

NPOジコイチの経験では、単独骨折は稀で、多くで上腕骨内上顆骨折、尺骨近位端骨折、尺側々副靭帯損傷を合併します。 成人では骨頭骨折となり、小児では頚部骨折となることを特徴としています。

(2)症状

肘関節周囲に痛みや腫れ、内出血による皮下出血が見られ、肘を伸ばすことができない、肘を回すことができないなどの運動制限を発症します。

(3)治療

視触診にて、肘関節の痛みや圧痛、腫れ、皮下出血、そして可動域制限の有無をチェックします。
骨折は、XP、CTで確認されています。

左からTypeⅠ、TypeⅡ、TypeⅢ
※左からTypeⅠ、TypeⅡ、TypeⅢ

1)TypeⅠ 転位のないもの、
2)TypeⅡ 少しの転位はあるが、単一骨片にとどまるもの、
3)TypeⅢ 橈骨頭が3つ以上に粉砕骨折しているもの、

TypeⅠでは、3~4週間のギプス固定、TypeⅡでは、スクリューによる固定術が行われます。
TypeⅢ 粉砕骨折であり、不安定性のあるものは、人工骨頭置換術、不安定性の少ないものは、橈骨頭切除術が選択されています。

(4)後遺障害のポイント

1)無料相談会では、握力の低下と遠位橈尺関節の不適合による手関節の機能障害に注目しています。橈骨頭骨折に鉤状突起骨折や肘関節後方脱臼を合併したときには、肘関節の屈曲・伸展障害、および手関節に回内・回外の機能障害を残すことが予想されるのです。

2)肘関節の後方脱臼、橈骨頭頚部骨折、尺骨鉤状突起骨折の複合損傷は、予後不良な組み合わせ(terrible triad)といわれており、内固定術が行われても、肘に、拘縮や動揺関節を残すことがあります。治療期間も1年近くを要し、10級10号以上の後遺障害を残す可能性が予想されます。

①機能障害では、骨癒合が決め手となるので、必ず、3DCTで360°回転させて検証します。
肘関節の拘縮では、ギプス固定期間を診断書からピックアップし、申述書にまとめます。

②神経麻痺では、神経伝達速度検査、針筋電図検査で立証しています。
さらに、神経麻痺では、自分で動かすことができないが、他動値は正常であることを理解しておかなければなりません。

③動揺関節は装具を発注し、動揺性は、ストレスXP撮影で立証することになります。