(48)手根骨骨折のまとめ

(1)総論

交通事故における手の外傷は、高頻度で発生していますが、疼痛、変形、腫れなどの症状が軽いと診察されたときは、捻挫、打撲、挫傷などと診断、放置されるか、十分な治療が行われていません。
脱臼、亜脱臼であっても、整復が完了すると、その後のフォローもなく、放置されることが多いのです。

受傷直後、比較的症状が軽いと診察され、その後も漫然治療に終始した結果、損保が治療の打ち切りを打診する頃になって、無料相談会で後遺障害を相談されることが目立ちます。
これでは、いかにも手遅れ、後の祭りになりかねません。

(2)手根骨骨折における後遺障害のポイント

1)よく目にする3つのパターン
①救急搬送された治療先で、手の専門医が診察したときは、先の異常を見逃すことはありません。
的確な画像検査で、骨折、脱臼、靱帯損傷が発見され、手術など、タイムリーな治療が開始されます。
となると、大きな後遺障害は期待できません。
しかし、劇的な改善で早期の社会復帰が実現できたのですから、これはこれで、理想的な解決です。
でも、極めて少数例なのです。

②手の痛みを訴えても、もう少し様子を見ましょうと、主治医から相手にされないとき、被害者のとるべき行動は、まっしぐらに専門医を受診することです。
これを、受傷から2カ月以内に実行する被害者は勝ち組、適切な治療が実施され、大きな後遺障害を残すことなく、早期社会復帰が実現できるからです。

③ダラダラと漫然治療を続け、損保から治療の打ち切りを打診された頃に、モゾモゾ動き出す被害者は、最悪のパターンで、完璧に負け組となります。
この段階で骨折が発見されても、Giroj調査事務所は、被害者に対して、本件事故との因果関係の立証を求めることになり、立証ができなければ、非該当になるのです。

2)等級獲得後に健康保険で手術を受けることについて検証します。
①字面だけで考えると、ずる賢いイメージですが、実は、選択肢として、それしかない状況なのです。
外傷医学は、交通事故による外傷の治療は、基本は6カ月、長くても1年と想定しています。
当然、損保もそれを前提に、被害者の対応を行っています。
受傷から6カ月以降に、専門医の手術を受けるとなると、先の原則から外れることになります。
損保は、治療費を負担すると、改善が得られないときは、再手術が行われるなど、いつまで経っても解決ができない悪循環に陥ることを懸念しており、この治療費を認めることはありません。
他方、被害者は、リハビリを続けるも、改善せず、専門医の診断で手術の方向性に踏み出したもので、経過は損保にも報告済みであって、治療費の負担を求めるのは当然のことと考えています。
しかし、この決断は、時期を失しており、いかにも遅すぎるのです。

結果、損保と被害者の協議は頓挫し、被害者は症状固定を選択せざるを得なくなるのです。
決して、被害者がずる賢く立ち回っているのではありません。
NPOジコイチは、それならば、緻密に立証して正当な等級を獲得し、解決後の手術に備えるべきと提案しているのであって、行き掛けの駄賃を画策しているのではありません。

3)決断できないときは、早期に、NPOジコイチの交通事故無料相談会に参加してください。
相談会では、まず、被害者自身で、どうやって解決すべきかを丁寧にお教えしています。
自分一人で進められないときは、チーム110のスタッフが治療先に同行して、サポートに入ります。
その後は、経験則の豊富な弁護士が、地方裁判所支払基準による損害賠償を実現します。
NPOジコイチは、完璧なスキームで被害者救済を実現しています。

4)被害者の目指すべきは、早期社会復帰です。
交通事故では、予想を上回る衝撃を受けた結果、不可逆的な損傷を被ることがあります。
早期に専門医を受診しても、全員が後遺障害もなく治癒するのではありません。
ときには、後遺障害により、その後の社会生活で重大な支障を残すこともあります。
しかし、治療先の選択が正しければ、納得のできる治療と早期の社会復帰が実現できるのです。

5)無料相談会では、骨折後の遷延治癒で2年になるのに、社会復帰ができていない、お気の毒な被害者もおられますが、本件の被害者が交通事故で失った社会的信用は、もう取り返すことができません。
怪我をしたことは、加害者の不注意であったとしても、治すことは、被害者の責任であることを忘れてはなりません。