(35)手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)

手根管症候群

(1)病態

正中神経は、手根関節、手首の関節の手のひら側のくぼみの辺りに存在する手根管靭帯などで形成された、手根管と呼ばれるトンネルを通り、支配する指に枝分かれします。
手根管症候群とは、手根管で絞扼、圧迫されたことによる正中神経麻痺です。
手根管症候群の原因は種々ありますが、交通事故では、橈骨遠位端骨折、特にコーレス骨折、月状骨脱臼などに合併して発症しています。
フォルクマン拘縮でも、手根管症候群を発症します。

手根管症候群の症状

(2)症状

人差し指・中指を中心に痺れ、痛みが出てくるのが特徴で、親指・環指にもおよぶことがあります。
痺れや痛みは就寝後、明け方に出てくることが多く、手首を振ると少し楽になります。
親指の付け根の母指球が痩せ始め、これらの指を使って細かい作業ができなくなり、OKサインもできなくなります。手の掌の関節部をゴムハンマーで叩くと示指・中指に痺れ、痛みが響きます。
これを、チネルサインが陽性といいます。

ファレンテスト
ファレンテスト

両手を上図のような状態で約1分保つと、手根管症候群では、正中神経領域に痺れや疼痛を生じます。このテストをファレンテストといいます。

(3)診断と治療

正中神経が手首のところにある手根管というトンネルの中で圧迫されて起こる神経障害で、神経伝導速度や筋電図検査が実施され確定診断が行われます。
軽度のものは保存療法が中心となっています。
手首の安静を保つことが重要で、手首に夜間、装具を装用させ、固定します。
痛みが強い場合は手根管部にステロイド注射が行われます。
保存療法で改善がみられないケース、母指球の筋萎縮が進行するときは、手根管開放術の適用ですが、この手術は局所麻酔下で実施されますので入院の必要はありません。

術後は3週間程度のギプス固定を実施し、手首の安静を保ちます。
最近では、関節鏡下にオペが実施されており、治療期間も短くなっています。

手根管症候群の症状に親指、人差し指、中指腹の知覚異常を説明していますが、親指・人差し指の知覚は、生活の上で重要な働きが認められ、これをカバーするために、小指の神経と皮膚を親指に移植、神経血管柄付き島状皮膚移植がなされることもあります。

(4)後遺障害のポイント

後段の正中神経麻痺で、まとめて解説しています。