(51)手指の脱臼と骨折

(1)中手骨頚部骨折 =ボクサー骨折 (ちゅうしゅこつけいぶこっせつ)

中手骨頚部骨折
○印が中手骨の頚部です。

1)病態

5本の手指・中手骨の先端部=骨頭は太くなっていますが、直下の細くなった部分を頚部といいます。
ボクシングのストレートパンチで発生することが多く、ボクサー骨折と呼ばれています。
中手骨頚部骨折は、環指や小指の中手骨によく発生しています。

ボクサー骨折

頚部骨折は頻度が高く、次に基底部骨折、骨幹部骨折、骨端線離開の順で発生しています。

拳を握った状態で打撃、打撲による外力が加わったときに発症しており、交通事故では、バイクや自動車のハンドルを握ったまま正面衝突したときに、外力が中手指節関節から中手骨の長軸に向かうことで発生しています。

2)症状

こぶしを含めた手の甲の先端部分に腫れ、激痛で手指の機能不全、運動障害が発生します。
骨折部は、手のひら側に曲がる屈曲変形となり、骨折した指のこぶしが凹みます。

3)治療

屈曲変形した角度が小さいものは、保存的にギプス固定が行われています。
屈曲変形した角度が大きいものは、手術的に変形を戻して鋼線などでピンニング固定します。

4)後遺障害のポイント

後段(4)で、まとめて解説しています。

(2)手指の脱臼と骨折 中手骨基底部骨折 (ちゅうしゅこつきていぶこっせつ)

中手骨基底部骨折
○印が中手骨の基底部です。

1)病態

基底部骨折は、直接の打撲などで発症しています。
親指の中手骨骨折は、付け根部分に発生することが多いのですが、親指の中手骨基底部関節内の脱臼骨折では、尺側基底部に骨片を残し、遠位骨片が橈側近位へ向けてズレるものをベンネット骨折と呼んでいます。
交通事故では、手を固く握った状態で、打撃、打撲などの衝撃が加わって発症しています。

2)症状

外傷の衝撃後に激痛、骨折部位の圧痛、手指の機能不全、腫脹、変形、運動障害などを発症します。
脱臼骨折では、手部の隆起、突出、手指の顕著な変形が見られます。

3)治療

この骨折は整復位保持が困難な骨折として知られており、わずかなズレが残っても痛みが持続し、親指に機能障害を残すことから、オペが選択されています。

4)後遺障害のポイント

後段(4)で、まとめて解説しています。

(3)手指の脱臼と骨折 中手骨々幹部骨折 (ちゅうしゅこつこつかんぶこっせつ)

中手骨々幹部骨折
○印、中手骨の中央部の骨折です。

1)病態

中手骨の中央部を骨幹部といい、この部での骨折を骨幹部骨折といいます。
手の甲に対する直接的な打撃など、強い力や手を捻る力で骨折しています。
骨幹部骨折は、骨折線の方向によって横骨折と斜骨折に分類されています。

関節部の骨折では骨片が小さく、ズレが少ないときは、変形もなく、腫れや痛みなどの症状も比較的軽度であり、いわゆる突き指として放置されることが多いので、要注意です。
専門医でないと、骨片が小さく、転位が少ないとXPでは見逃すことも経験しています。
しかし、早期に適切な治療がなされないと、ズレが増強し、後に大きな障害を残すことがあります。

2)症状

外傷の衝撃後に激痛、骨折部位の圧痛、手指の機能不全、腫脹、変形、運動障害などを発症します。

3)治療

転位の少ない骨折では、徒手整復後にガルベストン中手骨装具などの装用で、骨折を固定しつつも、指を積極的に動かして拘縮を予防する治療が行われています。

ガルベストン中手骨装具

ガルベストン中手骨装具

転位の大きい骨折では、手術でスクリュー、プレート、鋼線ピンニングなどで、固定術を行います。

4)手指の脱臼・骨折における後遺障害のポイント

後段(4)で、まとめて解説しています。

(4)手指の脱臼と骨折 PIP関節脱臼骨折

PIP関節脱臼骨折

1)病態

手指のまん中の関節の骨折です。
手指の関節の骨折では、もっとも治療が困難で、手術が選択されることが多い骨折です。
指先から2つ目の関節を脱臼することをPIP関節脱臼といい、しばしば骨折を伴う脱臼骨折となります。これは、突き指をしたときや、関節が本来動く範囲を超えて強制的に動かされたときに生じます。

2)症状

突き指をしたあと、指先から2つ目の関節、PIP関節が腫れてきます。これは、突き指で指が反り返り、強く押されることで生じており、衝撃で、指が横方向に曲がることもあります。

3)治療

診断はXP撮影で行いますが、関節面が落ち込む陥没骨折でPIP関節が落ち込んでいるときは、CT撮影が必要です。
関節が安定していればシーネなどで固定して治療します。

関節が不安定で、関節面に40%以上のズレが認められるときは、手術が選択されます。
靱帯断裂では、骨髄内からの陥没骨片の整復、ピンを用いた骨折の安定化などを行います。
必要に応じて創外固定器という持続牽引装置が用いられています。
変形癒合のときは、良好な機能は期待できないため、再建手術を要します。
矯正骨切り手術や、肋骨肋軟骨を移植して関節を再建する手術が行われます。
手指であっても、人工関節置換術や関節固定術などが選択されることがあります。

4)手指の脱臼と骨折における後遺障害のポイント

①上肢の脱臼・骨折の治療は、整形外科の医師が担当しています。
ところが、専門外の整形外科医は、靱帯や腱損傷の知識に乏しく、関心を示しません。
骨折の発見では真剣さがありますが、XPによる画像診断では、見落とすこともあるのです。
CT、MRIと積極的に撮影すればいいのですが、専門外では、そこまでの熱意がありません。

「突き指ですから、しばらく、様子を見ましょう?」
スルーされることが多く、カルテに自覚症状の記載を残すことも少ない状況となっているのです。
幸い、骨折が発見されたときでも、ギプス固定がやっとで、後療法のリハビリには無関心です。
そして、治療先の整形外科医が、専門医を紹介して治療を委ねることは、極めて少数例なのです。

しかし、手指の脱臼・骨折となると、同じ整形外科であっても、手の外科・専門医の領域となります。
ボクサー骨折、中手骨基底部骨折、中手骨々幹部骨折、PIP関節脱臼骨折では、整形外科医なら保存的治療が中心ですが、手の外科・専門医では、積極的な固定術で治療効果をあげています。

なお、被害者にとって、タチが悪いのは、受傷直後では、それほどの訴えでもないのに、時間の経過とともに、ズレや不安定性が増強し、痛みや運動制限の訴えが強くなってくることです。
Giroj調査事務所は、障害等級の審査では、受傷直後からの症状の一貫性を重視しています。
ときをおいて、だんだん重症化するものは、疑いの目で見られるのです。

②合理的な解決とするには、受傷2カ月以内に手の外科・専門医を探し出して受診することです。
日本手外科学会のホームページでは、全国の専門医が紹介されています。
http://www.jssh.or.jp/
被害者にとっては、いかに早く専門医を見つけ出して受診するかが、本件の決め手となるのです。
もう1つの有効策は、NPOジコイチの無料相談会に参加し、専門医の紹介を受けることです。

専門医の優れたオペと後療法がなされれば、多くは後遺障害を残すこともなく治療が完了します。
もっとも、交通事故ですから、不可逆的な損傷で後遺障害を残すこともあります。
そんなときは、XP、3DCT、MRI撮影を受け、画像で器質的損傷を明らかにし、日常・仕事上の支障は、陳述書で具体的にまとめて、被害者請求を行うことになります。
専門医の治療であれば、ダラダラと治療が続くことはなく、早期社会復帰が実現できます。
これは大いに評価できることなのです。

ところが、現実は、こんなにスムースには進んでいません。
漫然治療を続け、損保から治療打ち切りの催促を受けるにおよんで、やっと重い腰を上げる被害者が圧倒的なのです。受傷から4、6カ月を経過していれば、損保が治療費の支払いを拒否します。
加えて、専門医を受診、健康保険適用で手術を受けても、外傷は陳旧化、古傷化しており、劇的な改善は得られず、当然のことながら、後遺障害も本件事故との因果関係を立証することができないで、大多数は全滅、轟沈することになります。
これは悔しいことですが、生々しい現実です。

③最後に後遺障害についてですが、まず、手指の機能障害では、認定基準が相当に厳しいという事実があります。もう1つ、手指の可動域の計測は煩わしい作業で、正確ではない現実もあります。

毎日、多くの被害者から、等級に関するメールやフリーダイヤルの相談がありますが、等級に踏み込むには、被害者の年齢、事故発生状況とXP、CT、MRI画像、治療を行った治療先と医師、受傷から手術までの期間、手術の技術、術後の後療法の情報が必要となります。

これらの情報は、無料相談会に参加されることでしか、正確につかみ取ることはできません。
やはり、受傷2カ月の段階で、専門医を受診する、後遺障害は無料相談会に参加して見通しをつけることが重要です。鉄は、熱いうちに叩かなければなりません。

(5)手指の脱臼と骨折 マレット フィンガー=槌指 (つちゆび)

マレット フィンガー

1)病態

①腱性マレットとは、突き指により、末節骨に付着している指を伸ばす伸筋腱が断裂することにより、DIP関節が伸ばせなくなっている状態です。
②骨性マレットとは、伸筋腱が末節骨に付着している部分で、裂離骨折により、DIP関節が伸ばせなくなっている状態です。指先に最も近いDIP関節の骨折であり、骨接合術が必要となります。

2)症状

激痛、骨折部位の圧痛、手指の腫れと変形、運動障害などを発症します。

3)治療

XPで骨折を確認し、骨折のない腱性マレットでは、装具やシーネを用い、6週間程度の固定で改善が得られています。専門医では、鋼線による指を伸展した位置での固定や腱を縫合します。

腱と関節包との結合部位では剥離骨折が多く発生、伸筋腱断裂によってマレットフィンガーと呼ばれる遠位指節間関節の屈曲変形が生じることがあります。
骨性マレットでは、剥離骨片をワイヤーやスクリューで固定する手術が行われています。
約5週間の固定で、骨癒合が完成したらピンは抜かれています。

4)後遺障害のポイント

①骨折型、粉砕の程度、軟部組織の損傷の程度によっては、術後に指拘縮が起こりやすく、また、発生部位に関わらず、整復が不完全なときは、運動障害や運動痛を残します。

②さて、後遺障害ですが、これは、厳しいのです。
つまり、まったく屈伸ができない状態でないと、14級7号が認定されないのです。
本件では、ホンの少しは動き、棒のようには、ならないのです。
マレット変形は、手指であって、長管骨ではないので、変形の後遺障害は想定されていないのです。

等級 DIP関節の後遺障害 自賠責 喪失率
14 7:1手の親指以外の手指のDIP関節を屈伸できなくなったもの 75 5

③後遺障害が期待できるのは、切断一歩手前の挫滅骨折に限られます。
したがって、治療先で突き指と診断されても、症状からマッレトフィンガーが予想されるときは、急ぎ、ネット検索で近隣の専門医を探し出し、固定術を受けなければなりません。
本件では、専門医の治療で完治を目指すことになります。

(6)手指の脱臼と骨折 親指CM関節脱臼骨折=ベネット骨折

手関節の構造

1)病態

親指の付け根の関節は、MCP関節といいますが、XPでは、下方向に、手根骨の大菱形骨に第1中手骨が乗っかる形の関節を確認することができます。これを親指CM関節といいます。
CM関節により、親指をいろいろな方向へ動かすことが可能となっています。
具体的には、親指が他の指と向き合って、モノをつまむ動作ができるように働いています。
このCM関節が、亜脱臼もしくは脱臼した状態です。

ほとんどは、使い過ぎ、加齢による変性で、この関節を支えている靭帯が緩み⇒関節表面の軟骨がすり減り⇒関節が亜脱臼することで、親指の痛み、可動域制限を発症しています。
ここで取り上げるのは外傷性ですが、交通事故では、自転車、バイク対自動車の出合い頭衝突や正面衝突でも、高頻度で発症しており、ほとんどはCM関節の脱臼です。

ベネット骨折

2)症状

CM関節を亜脱臼、脱臼すると、手首の親指の付け根付近に疼痛を発症します。
親指付け根部分が腫れ上がり、押すと疼痛があり、親指を捻るようにすると疼痛が増強します。
ほどなく、でっぱりが出てくる、親指が開きにくくなり、ペットボトル、ビンの蓋を開け締めができません。
放置すると、親指の指先の関節IP関節が曲がり、白鳥の首変形をきたします。

ベネット骨折

3)治療

脱臼、亜脱臼はXPで検査されます。
保存的治療として、消炎鎮痛剤入りの貼り薬を貼り、CM関節保護用の軟性装具を付けるか、固めの包帯を母指から手首にかけて8の字型に巻いて動きを制限します。
それでも不十分なときは、消炎鎮痛剤の内服と関節内注射が併用されています。

CM関節保護用の軟性装具

痛みが強く、亜脱臼を伴う高度な関節の変形や親指のスワンネック変形※が見られるときは、関節固定術や大菱形骨の一部を切除して靱帯を再建する切除関節形成術などが必要となります。
相当に、大掛かりな手術です。

※スワンネック変形
指先の関節が屈曲し、根元の関節が逆方向に反ったため、白鳥の首に似た変形となります。

スワンネック変形

ベネット骨折

※ベネット骨折
第1中手骨の根本が骨折し、内側部の骨片は取り残されています。中手骨本体は筋肉に引っ張られて手首の方向にずれ、脱臼しています。
転位を整復し、ピンニング(2本の鋼線)で固定されています。
一般社団法人日本骨折治療学会のホームページから引用しています。

4)後遺障害のポイント

等級 親指の機能障害 自賠責 喪失率
10 7:1手の親指の用を廃したもの 461 27
7:1手の親指以外の2本の手指の用を廃したもの

 

MCP関節 IP関節 他の運動
屈曲 伸展 屈曲 伸展 橈外転 掌外転
正常値 60 10 70 80 10 90 60 90 150
用廃 30 5 35 40 5 45 30 45 75

用を廃したものとは、健側の可動域に比較して、2分の1以下に制限されたものをいいます。
保存的治療、固定術でも、親指のMCP関節に可動域制限を残すのですが、ほとんどの場合で、2分の1以下にはならないのです。考えてみれば当然のことで、障害を受けているのは、親指のCM関節なのですが、自賠責保険の認定基準には、CM関節の機能障害が規定されていないのです。

自賠法施行令第2条別表第一備考、別表第二備考
後遺障害等級表に掲げるもの以外の後遺障害については、その後遺障害の程度に応じ、後遺障害等級表に掲げる後遺障害に準じて、その等級を定めることとなるが、この後遺障害等級表に掲げるもの以外の後遺障害とは、次の2つの場合をいう。
①ある後遺障害が、後遺障害等級表のいかなる後遺障害の系列にも属さない場合

②後遺障害等級表上に、その属する後遺障害の系列はあるが、該当する後遺障害がない場合
この相当級を定めることができるのは、別表第二の同一系列に属する後遺障害群についてであるので、この場合は、同一系列に属する2以上の後遺障害が該当するそれぞれの等級を定め、併合の方法を用いて相当級を定める。ただし、併合の方法を用いた結果、序列を乱すときは、その等級の直近上位または直近下位の等級を当該後遺障害の相当級とする。

今後は、この規定を見据えて、後遺障害の申請を行うことになります。
例えば、親指CM関節の固定術が行われたときは、CM関節はビクとも動かないことになり、CM関節は、用を廃したものになっています。ところが、現行では、CM関節の用廃が規定されていません。
後遺障害等級表に規定されているMCP・IP関節は用廃ではなく、機能障害としては非該当であっても、親指CM関節は用を廃しているので、Giroj調査事務所におかれましては、自賠法施行令第2条別表第一備考、別表第二備考に基づき、慎重な審査を求めるものです。

この文書を添付して、自賠責保険に対して、後遺障害の被害者請求を行うことになります。

意図を明確にして被害者請求を行わないと、審査では流されてしまいます。
Giroj調査事務所が、先回りをして認定してくれると期待してはなりません。

5)NPOジコイチの経験則

10年前ですが、医大系病院に勤務の理学療法士、男性、34歳が無料相談会に参加されました。
自転車対バイクの交通事故で、傷病名は、右親指CM関節亜脱臼でした。
保存的に治療されており、参加されたときも、軟性装具を装用していました。
右親指のMCP関節は、屈曲40°伸展10°で2分の1以下ではありません。
しかし、右親指の付け根に僅かな変形、常時、痛みがあり、親指に力を掛ける理学療法では、痛みが増強し、仕事にならないとの訴えです。

すでに、事故受傷から1年2カ月が経過しており、損保は治療を打ち切っています。
症状固定とし、痛みの神経症状で12級13号を目指すことになり、右CM関節部の変形を立証すべく、左右の親指CM関節について、2方向からXP撮影を受け、さらに、右CM関節脱臼部は、3DCT撮影で念を押しました。主治医に画像所見を中心とした後遺障害診断書の作成を依頼し、被害者の日常・仕事上の支障は、陳述書に、具体的にまとめました。
結果、Giroj調査事務所は、12級13号を認定してくれました。
このときは、CM関節の用廃で10級7号を目指す眼力がなかったのです。
それが、反省点です。

余談ですが、被害者の勤務する病院では、高名な手の外科専門医が在籍し、専門外来が設置されていました。本来なら、この専門医の診察を受け、手術で改善を目指すべきでしたが、彼の所属するリハビリテーションの医師は、専門医と折り合いが悪く、院内の人間関係から、専門医を受診することができなかったのです。

(7)クロスフィンガー=指交差

1)病態

中手骨の骨幹部骨折で、骨が捻れると、患指が隣の指の下側に潜り込み、重なることがあります。
この現象を、クロスフィンガー=指交差あるいは回旋変形といいます。

2)症状

手指に可動域制限はなく、深刻な痛みもありませんが、指が重なり、手指の巧緻運動ができません。

3)治療

中手骨骨折部が回旋した状態で骨癒合したことが原因であり、通常は骨切り術で対応します。
再骨折させ、指を曲げたときに重ならない位置に整複して、ミニプレートなどで固定します。

(4)後遺障害のポイント

①手の専門医の骨切り術で、クロスフィンガーが矯正されれば、後遺障害を残しません。

②クロスフィンガーによる後遺障害は、親指のCM関節脱臼と同じで、自賠責保険の等級認定基準には規定されていません。
手指の後遺障害では、手指の欠損もしくは用廃、手関節の機能障害が規定されているだけです。
本件では、手指に運動制限は認められていません。
したがって、政令別表の規定により、他の後遺障害に準じて等級の認定を求めることになります。
こんなときは、左小指のクロスフィンガーにより、日常・仕事上でどのような支障が認められるのかを丹念に立証していかなければなりません。

5)NPOジコイチの経験則

内側々副靱帯

32歳の兼業主婦ですが、乗車の際に、右人差し指をドアに挟まれ、中手骨々幹部を骨折しました。
手の外科・専門医を受診し、骨折部は、ピンニング固定されたのですが、抜釘後に人差し指が中指の下に潜り込むクロスフィンガーが出現しました。

骨切り術で改善を目指す方向でしたが、面談した主治医よりは、本件は挫滅骨折であり、骨切り術を実施しても、必ず元通りになるとは言えないとの所見でした。
そこで、オペは断念することにし、後遺障害診断書には、「挫滅的な骨折の状況からクロスフィンガーを残したものである。」このような医師所見の記載を受けました。
被害者は建築設計事務所に勤務、CADを使用して設計をしています。
右人差し指のクロスフィンガーは、パソコン操作では致命的であり、その作業の様子をビデオ撮影で立
証しました。結果、疼痛と作業効率の低下が評価され、12級13号が認定されました。

最近、左小指MCP関節の関節包損傷を原因として、左小指がクロスフィンガーとなった被害者から相談があり、医大系病院整形外科、手の外科・専門医を紹介、同行して受診しました。
骨切り術で改善が得られるとのことで、完治を目指すことになりました。

骨切り術前に症状固定で12級13号を目指すことも考えましたが、骨切り術で完治することが判明している事案であり、ミエミエの症状固定は断念し、完治を選択しました。