等級 | 手指の切断障害 | 自賠責 | 喪失率 |
3 | 5:両手の10本の手指の全部を失ったもの | 2219 | 100 |
6 | 8:1手の5本の手指を失ったもの | 1296 | 67 |
8:1手の親指を含む4本の手指を失ったもの | |||
7 | 6:1手の親指を含む3本の手指を失ったもの | 1051 | 56 |
6:1手の親指以外の4本の手指を失ったもの | |||
8 | 3:1手の親指を含む2本の手指を失ったもの | 819 | 45 |
3:1手の親指以外の3本の手指を失ったもの | |||
9 | 12:1手の親指を失ったもの | 616 | 35 |
12:1手の親指以外の2本の手指を失ったもの | |||
11 | 8:1手の人差し指を失ったもの | 331 | 20 |
8:1手の中指を失ったもの | |||
8:1手の環指を失ったもの | |||
12 | 9:1手の小指を失ったもの | 224 | 14 |
13 | 7:1手の親指の指骨の一部を失ったもの※ | 139 | 9 |
14 | 6:1手の親指以外の指骨の一部を失ったもの | 75 | 5 |
手の指は、親指、人差し指、中指、環指、小指と言います。
親指の関節は2つしかなく、指先に近い方からIP、MCP、その他の指では、親指よりも1つ多く3つの関節が存在し、指先に近い方から DIP、PIP、MCPといいます。
手指を失ったものとは、親指ではIPより先、その他の指では、PIPより先を切断したものをいいます。
親指以外では、第1関節=DIPより先を失っても、14級6号が認定されるに過ぎません。
このケースでは、DIPより先の2分の1以上を失っていれば、14級6号の認定です。
ヤクザ映画で小指の第1関節を落とすエンコ詰めは、DIP関節より先を自発的に切断するものであり、
交通事故であれば、指の切断には該当しません。
ただし、交通事故で小指の第1関節を切断したときは、1手の小指の用を廃したものとして13級6号が認定されています。
手指は親指、人差し指、中指、環指=薬指、小指の5本で構成されています。
機能的な面で、一番大切なのは親指です。
親指は手指全体の機能の40%を占めるとされており、これを失うと後遺障害等級も9級12号が認定されます。次に大事なのは、なんと、小指といわれているのです。
親指と小指でものを挟めるだけで、その手の能力は高まると言われており、小指の欠損は、格上げされ、12級9号が認定されています。
小指と環指はパワーグリップの主役をなす指です。
余談ですが、ヤクザが下手うち=失敗すると、エンコ詰=小指をカットして謝罪を表します。
小指の一部をカットすると、モノを力強く握れなくなります。
小指を上げたままにして手を握ると、そのことを理解することができます。
小指をカットすることによって親分に対する反抗心をなくさせるという意味があるのだそうです。
プロゴルファーであれば、グリップの低下は深刻な障害となります。
3番目に大事なのは環指=薬指で、等級序列では2番目、11級6号が認定されています。
人差し指、中指、環指=薬指の切断は、同列の扱いです。
4番目に大事なのは中指で、優先順位の最後は人差し指とされています。
確かに人差し指は日常ではあまり使わないのかもしれません。
でもPCを使用する私にとっては命取りです。
※1手の親指の指骨の一部を失ったもの
指骨の一部を失ったものとは、親指では、先端部の骨の一部が失われていることがXPで確認できれば、13級7号が認定されます。XPで遊離骨片が確認できるときも同様です。
親指以外では、1等級が下げられ、14級6号が認定されています。
しかし、親指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったときは、親指の用を廃したものとして評価され、10級7号が認定されています。
鋭利な刃物で、スパッと切り落としたギロチン切断では、血管や神経の切り口も綺麗で、再接着の成功率は高いのですが、それに比べ、何かに巻き込まれ指肢を切断してしまった引き抜き切断は、血管も神経もズタズタで、再接着の成功率は、ほとんどありません。
テレビでは、切断した指を氷詰めにして、病院に持っていくというシーンがありますが、この方法は、本当に有効で、ビニール袋に氷を詰めて病院に持っていったときは、24時間以内、氷詰めにしない常温では、6時間以内であれば、再接着の成功率が高いとのデータがあります。
当然のことですが、切断肢の止血時間も、再接着には重大な影響があります。
再接着は、専門医の領域で、現在はマイクロサージャリー、顕微鏡下での手術により、細い神経や血管の接合術が行われています。
手指の欠損における後遺障害のポイント
1)症状固定時期について?
切断は、非可逆的損傷ですから6カ月を待つ必要はありません。
切断肢の断端形成が完了、幻肢痛が改善したときが、症状固定のタイミングとなります。
※断端形成
切断端を皮膚で覆う形成術のことです。
手指を切断することで、存在しないはずの部分に感覚を感じることがあり、切断患者の多く、50~80%に、その症状が認められています。
感覚を感じることを幻視と言い、幻視部分が痛むときは、幻肢痛といいます。
痛みは、神経の切断後に脳に起こる変化が原因であるという説、
神経の断端からの刺激が脳に伝わって痛みを起こすという説、
心理的原因説などが議論されていますが、まだ決着がついていません。
原因不明の状態が続いているのです。
余談ですが、切断は英語でAmputationと書きます。
アンプタは整形外科医の隠語で、切断を意味しています。