(37)後骨間神経麻痺(こうこつかんしんけいまひ)

(1)病態

橈骨と尺骨の2つ骨の間を繋ぐ骨間膜の前を走行するのが、尺骨神経麻痺で解説した前骨間神経で、後を走るのを後骨間神経といいます。

肘上の橈骨神経は、手関節や手指を動かす運動神経とモノを触ったときに、それを感じる知覚神経の2つの神経が束になって走行しており、肘よりも上で橈骨神経が絞扼、圧迫を受けると、手関節をうまく動かすことができない、強いしびれを感じるなど、運動神経と知覚神経の両方の症状が出現します。
ところが、後骨間神経は、肘部で橈骨神経から分岐し、運動神経のみが、フロゼのアーケードという狭いトンネルに入ります。トンネルの中は、移動性がなく、絞扼、圧迫を受けやすくなっています。
この点は、肘部管、手根管とまったく同じです。

フロゼのアーケードで後骨間神経が絞扼、圧迫を受けると、後骨間神経麻痺と診断されます。
後骨間神経麻痺では、動かせないという障害は起きますが、しびれなどの知覚神経には異常がないことが多く、手首は伸展できるが、手指を伸ばすことはできなくなります。
後骨間神経麻痺は、下垂手と皮膚感覚の異常がないことで、橈骨神経麻痺と鑑別できます。
交通事故では、自転車やバイクの転倒で、肘の外側部を強く打撲したときに発症しています。

(2)症状

後骨間神経麻痺では、下垂指、drop fingerとなりますが、皮膚の感覚障害はありません。
下垂指は、手関節の背屈は可能ですが、手指の付け根の関節の伸展ができなくなり、手指のみが下がった状態になり、後骨間神経麻痺は、下垂手と感覚の障害のないことで診断できます。
下垂指(drop finger)
下垂指(drop finger)

※下垂手

橈骨神経麻痺

手首の背屈と手指の付け根の関節、MP関節=中手指骨関節が伸展不能で伸ばせなくなり、手首と指が下がった状態になりますが、DIP関節とPIP関節は伸展可能です。

※下垂指
手首の背屈は可能ですが、手指の付け根の関節の伸展ができなくなります。
指のみが下がった状態になるので、下垂指といわれています。

(3)検査と治療

治療先では、筋電図、XP、MRI、エコー検査などが実施され、確定診断がなされています。
エコー検査では、腱の連続性を確認できるので、腱断裂と区分けすることができます。
受傷から3カ月前後は、保存的な治療となりますが、外傷性で、改善の得られないものは、手術が行われています。手術は、神経剥離、縫合などの手術が行われます。
神経の手術で回復の望みの少ないものは、他の筋肉で動かすようにする腱移行術が行われます。

(4)後遺障害のポイント

後段の橈骨神経麻痺で、まとめて解説しています。