(10)外傷性頭痛

1)病態

外傷性頭痛の原因は、以下の5つが考えられるのですが、
①頭部の挫傷や創傷の部位から発症する疼痛、
②動脈の発作性拡張で生じる血管性頭痛、片頭痛はこの代表的なものです。
③頚部、頭部の筋より疼痛が発生する筋攣縮性頭痛、
④後頚部交感神経の異常により発生する頚性頭痛、バレ・リュー症候群と呼んでいます。
⑤上位頚神経の痛みの大後頭神経痛と後頭部から額面や眼にかけての三叉神経痛、

当然に、頭部外傷後の器質的損傷を立証しない限り、後遺障害等級の認定はありません。
③④⑤は、ムチウチを原因としたものであり、後遺障害の対象ではありません。

2)診断と立証

頭痛ダイアリーの活用

ここでは、北里大学医学部 坂井文彦教授が考案された頭痛ダイアリーを参考に取り上げています。

等級 内容
9 10:一般的な労働能力は残存しているが、激しい頭痛により、労働に従事することができなくなるときがあり、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
12 13:労働には差し支えがないが、ときには労働に差し支える程度の強い頭痛が起こるもの
14 9:労働には差し支えがないが、頭痛が頻回に発現しやすくなったもの

3)後遺障害のポイント

頭痛による後遺障害の獲得は、30年以上を経過する現在でも、自賠責保険では経験していません。
しかし、労災保険では、複数例の9級を経験しています。
①症状固定後も、アフターケアで通院していること、
②主治医が、内服の継続を指示していること、
③頭痛ノートで、それらが裏付けられていること、
上記の 3 点を根拠として後遺障害等級を認定しています。
したがって、頭痛ダイアリーの記録は、必須の条件となります。

最近、片頭痛にはトリプタン系の治療薬で著名な改善が報告されています。
事故受傷後、頭痛が継続している被害者は、脳神経外科や脳神経内科を受診し、原因を突き止めなければなりません。バレ・リュー症候群とは、頚部交感神経の暴走を原因としたもので、外傷性頚部症候群の周辺症状と言われており、治療先は、麻酔科医のペインクリニックで、治療として、交感神経ブロック療法が行われています。受傷後、早期に整形外科と併用すれば、大多数は2、3カ月で改善が得られています。ムチウチを原因とする頭痛は、改善が得られるので、後遺障害の対象ではありません。