(72)足趾 基節骨々折(きせつこつこっせつ)

基節骨々折

(1)病態

交通事故における足趾の骨折は、歩行者と自転車、二輪車、軽四輪トラックの運転者がほとんどで、それも夏に多発していましたが、近年、クロックスなどの普及で季節感はなくなりつつある傾向です。

 足趾の骨は、親趾では基節骨と末節骨の2つ、他の趾では基節骨、中節骨と末節骨の3つで構成されており、これは手指と一致しています。

(2)症状

骨折部位の圧痛・腫脹・皮下出血です。

(3)治療

第5基節骨々折に対し、アルミプレートを足に合わせて加工
第5基節骨々折に対し、アルミプレートを足に合わせて加工します。
第4趾を添え木代わりとして固定します。

骨折はXP検査で確認できます。
足趾の強打・突き指による骨折の多くは、骨転位のないものが多く、テーピングとアルミ製の副子で固定し、3週間の患部の安静を確保することができれば、後遺障害を残すことなく治癒します。

(4)後遺障害のポイント

後遺障害が議論されるのは、粉砕骨折、挫滅骨折などで転位の大きいものです。
中足骨骨折や中節骨・末節骨折を伴う多発骨折で、一部が開放性のもの、転位・変形の大きいものでは、矯正による整復固定後に再転位する可能性が高く、それを防止する観点から、長期間の固定が行われることになり、結果として足趾関節が拘縮をきたすことが予想されるのです。

足趾の関節は、母趾では、趾先に近い方からIPとMTP関節、その他の足趾では、趾先に近い方から DIP、PIP、MTP関節といい、この点は手指と同じです。
手指では、MCPとIPおよびPIP関節が、健側と比較して2分の1以下であれば、用廃として後遺障害が認定されていますが、足指では、2分の1以下の可動域制限が後遺障害の対象とされるのは、母趾と第2趾のみで、第3、4、5趾では、2分の1以下は適用されず、完全強直もしくは完全麻痺で用廃と認定されるのです。
手指は5本、足指は2本と覚えてください。
そして、第3・4・5趾の完全強直は、ほとんどであり得ないのです。

等級 足趾の機能障害 自賠責 喪失率
7 11:両足の10本の足趾の全部の用を廃したもの 1051 56
9 15:1足の5本の足趾の全部の用を廃したもの 616 35
11 9:1足の母趾を含み、2本以上の足趾の用を廃したもの 331 20
12 12:①1足の母趾の用を廃したもの 224 14
12:②母趾を除き、他の4本の足趾の用を廃したもの
13 10:①1足の第2の足趾の用を廃したもの 139 9
10:②第2の足趾を含み2本の足趾の用を廃したもの
10:③第3の足趾以下の 3本の足趾の用を廃したもの
14 8:①1足の第3の足趾以下の2本の足趾の用を廃したもの 75 5
8:②第3趾の用を廃したもの
8:③第4趾の用を廃したもの
8:④第5趾の用を廃したもの