(34)前骨間神経麻痺(ぜんこつかんしんけいまひ)

(1)病態

前骨間神経は、肘部で正中神経から分岐したもので、親指と人差し指の第1関節を動かす筋肉を支配しています。この部位で損傷を受けると、傷病名は、前骨間神経麻痺と記載されています。
前骨間神経

交通事故では、転位の大きい上腕骨顆上骨折に合併して発症しています。

(2)症状

前骨間神経麻痺では、親指と人差し指の第1関節の屈曲ができなくなります。
親指と人差し指で○を作ると、親指と人差し指の第1関節が過伸展となり、○ではなく、涙のしずくに似た形となります。

前骨間神経の症状

(3)治療

前骨間神経麻痺は、涙のしずくサインと、感覚障害のないことで診断できます。
確定診断には、針筋電図検査、MRI検査などが必要となります。

外傷による前骨間神経麻痺では、ほとんどで上腕骨顆上骨折に合併したものであり、骨折の固定術と同時に、神経剥離、神経縫合、神経移植などの手術が行われています。
剥離、縫合、移植術で回復が期待できないときは、腱移行手術が行われています。

(4)後遺障害のポイント

後段の正中神経麻痺で、まとめて解説しています。