(22)仙腸関節機能不全-AKA

仙腸関節機能不全-AKA

1)病態

傷病名が頚・腰部捻挫であるのに、歩行もままならない被害者が、おおよそ3年周期で登場します。
大半の主治医はプシコ扱いで、真面目な対応をしてくれません。

※プシコ?
医師仲間の隠語で、psycho consult=精神科医に相談すべき患者を意味しています。
正しく発音すれば、教養豊かな患者は、「俺をキチガイ扱いするのか!」と激怒します。
それゆえ、プシコと呼んでいるのです。

元国立大阪南病院 整形外科の博田節夫医師は、歩行に支障をきたす激しい腰部痛について、仙腸関節の機能不全を原因とするものと説明しておられ、AKAの独自の理論を学会で発表されています。
脊柱骨の最後の部分は仙骨と尾骨で構成されており逆三角形で骨盤骨に収まっています。
この部分を仙腸関節と呼ぶのですが、この納まり具合がおかしいと歩行に支障を来すような痛みが腰部に発生するとのお考えです。

2)症状

症状は、歩行障害を伴う、腰部の激痛です。

3)治療

理学療法を中心に、主に骨盤骨の矯正が治療の中心ですが、歩けなかった被害者が、1回の治療で電車に乗って帰った? そんな被害者を現実に経験していますが、症状は、なぜか、再び繰り返すのを特徴としています。つまり、治癒することは少ないようです。

このAKA理論は、画像所見を確保できないところに最大のウイークポイントがあります。
画像で説明できないので、残念ながら整形外科学会では認知に至っていません。
このAKA理論は、リハビリ科の理学療法士に信奉者が多いことを特徴としています。
Giroj調査事務所は、画像で器質的損傷を立証できないとして、後遺障害として認定していません。
損保の対応は、むち打ちに同じで、受傷後3、4カ月で治療費も休業損害も打ち切ってくるのが普通、うるさく言うと弁護士から受任通知書が送達され、債務不存在確認請求訴訟へと発展していくのを常としています。

AKA理論の提唱者である博田医師の診断を別にすれば、考えられる精密検査のすべてを実施しても、決め手が現れない被害者に対して、困り果てた医師がこの診断名をつける傾向と言われていますが、私ごときが、評価する立場にありませんし、またできません。

4)後遺障害のポイント

①腰部に激痛を訴え、歩行もままならない被害者に対して、3DCT、MRIは、矢状断、水平断、冠状断、つまり3面からの撮影を行い、仙腸関節部の器質的損傷を立証しようとしましたが、残念ながら、画像所見を得ることはできなかったのです。

②画像で器質的損傷を立証できなければ、AKAとして後遺障害の獲得はありません。
したがって、NPOジコイチは、AKAの立証と後遺障害の申請からは、撤退しています。
今は、AKAの傷病名で後遺障害を申請するのではなく、腰部捻挫としての立証に努力しています。

③ここ5年間、AKAの傷病名を目にしておらず、相談もありません。