(1)病態
メニエール病の原因は、内リンパ水腫、内耳のリンパが増え、水腫、水ぶくれになっている状態です。
ストレス、睡眠不足・疲労・気圧の変化、几帳面な性格などに原因があると考えられています。
内耳には、①聞こえの細胞が詰まっている蝸牛と、②平衡機能を司る三半規管と耳石器があります。
この両方、もしくはどちらかに水腫ができるかで症状は異なります。
蝸牛の水腫では、めまいの症状はなく、難聴だけを自覚します。
水腫が小さいときは、難聴を自覚せず、耳が詰まった感じや耳鳴り、音が響く感じを訴えます。
(2)症状
反対に三半規管・耳石器に水腫があれば、めまいの症状だけを訴えます。
めまいの強さも、グルグル回転する激しいものから、フワフワ雲の上を歩いている感じのものまで様々で、めまいが持続する時間は、10分程度から数時間程度であることが多く、数秒~数十分程度の極めて短いめまいが主であるときは、メニエール病は否定的です。
めまい=メニエール病と考えがちですが、メニエール病には厳密な診断基準があり、難聴、耳鳴り、耳が詰まる感じなどの聴覚症状を伴うめまい発作を繰り返す、反復することです。
めまい発作や難聴発作が1回起きただけではメニエール病とは診断できません。
この診断基準を満たし、かつ、類似の他の病気を除外できるものをメニエール病と診断します。
(3)治療
診察では、目を閉じて足踏みするなど、身体のバランスを調べる検査や目の動きの異常を調べる眼振検査を行います。聴覚症状に対しては耳内を観察し、聴力検査を行います。
症状がめまいのみでも、隠れた難聴があることを想定して聴力検査を行う必要があります。
逆に聴覚症状のみでも、隠れためまいがないか眼振検査を行う必要があります。
中枢性疾患の除外には、他の脳神経症状がないか神経学的診察も欠かせません。
身体のバランスを調べる検査で小脳や脳幹の障害が発見されるときもあります。
強い発作で嘔気が強く、薬を飲むこともできないときは、安静の上でめまい止めの点滴を行います。
内服が可能であれば、めまい止め、利尿剤を中心に抗不安薬や循環改善薬、ビタミン剤などを組み合わせて使用します。
メニエール病には、ストレス、睡眠不足、疲労が関与していると考えられており、薬による治療だけでは根本的な治療にはなりません。薬によって症状を抑えることで、安心感を得て、ゆっくりとストレスの原因を見つめ直し、生活習慣を正すことが必要となります。