アメフト、ラグビー、レスリングなどのコンタクトスポーツで相手と接触した際に、首が強く横方向に曲げられ、伸ばされたりしたとき、首、肩~手に向かって電気が走る、焼け付くような痛み、しびれと脱力を訴えることがあります。
バーナー症候群
1)病態
バーナー症候群は、頚~肩に走行する神経の束=腕神経叢が一過性に引き伸ばされて起こる症状で、軸索損傷もしくは神経虚脱に相当するものと考えられています。
交通事故では、交差点における出合い頭衝突で、横方向から頚部に強い衝撃を受けたときに発症していますが、多数例ではありません。
2)症状
頚部捻挫に比較すれば、症状は片側の上肢の灼熱痛、タンスの角で肘をぶつけたときに起きる電気的な強い痺れがずっと継続している、箸を使用して食事できないなど、深刻なものです。
バーナーで炙られたような痛みから、バーナー症候群と呼ばれているのです。
しかし、これらの症状は、放置していても、長くても3カ月前後で軽快、消失していきます。
バーナー症候群に限って言えば、後遺障害の対象ではありません。
3)後遺障害のポイント
1)これまでに、この傷病名については、10例ほどの経験があります。
コンタクトスポーツによる受傷では、頚椎の安静と症状が治まってから、再発予防のための頚肩部の筋力訓練のリハビリが実施されており、症状が緩解するまでは、スポーツを行うときは、肩パッドや装具を着用が指示されています。
2)交通事故では、大多数で頚椎捻挫と診断されます。
バーナー症候群の傷病名は、整形外科・開業医にとって、メジャーなものではありません。
症状を訴えても、基本、相手にはされません。
しかし、この記事を読破しておられる被害者は、慌てることもありません。
そんなときは、頚椎捻挫で後遺障害の獲得を目指すのです。
①リハビリ設備の整った整形外科・開業医で、真面目にリハビリ通院治療を続けます。
真面目とは、3日に1回、1カ月に10日以上のリハビリ通院を積み上げることです。
そして、決して整骨院・接骨院で施術を受けてはなりません。
施術は、どこまでいっても医療類似行為であって、治療実績として評価されていません。
施術を続ければ、後遺障害は否定されるのです。
②できるだけ早く、受傷から2カ月以内に頚部のMRI撮影を受けておきます。
頚部捻挫では、末梢神経障害が後遺障害の対象であり、末梢神経は、XP、CTでは描出できません。
注目すべきは、頚椎、C5/6と6/7です。
左右いずれかの頚部、肩~上肢、手指にかけて重さ感、だるさ感、しびれの症状があれば、先のC5/6、6/7に末梢神経を圧迫している椎間板ヘルニア所見もしくは、末梢神経の通り道を狭めている骨棘形成などの画像所見が得られているはずです。
これらは、外傷性所見ではなく、誰にでも認められる年齢変性なのですが、自覚症状とMRI画像所見が一致したことになり、高い確率で14級9号が認定されているのです。
参考までに、末梢神経障害に対しては、リリカの内服で改善が得られています。
③そして、受傷から6カ月を経過すれば、損保に治療の打ち切りを打診される前に、症状固定、後遺障害診断を選択するのです。6カ月間、真面目に治療を続けても、改善が得られない症状が、あと、1、2カ月の治療で治癒する? こんなオバカなことを考えるものではありません。
後遺障害等級を獲得して、弁護士による実利ある解決を求めるのです。
④交通事故110番では、17年6月から0120-716-110で電話による相談を開始しています。
その中で、気になる情報があります。
損保が、整骨院、接骨院の施術について、受傷から3カ月間に限り、認めるというものです。
今のところ、全労済と、沖縄の大同火災が、このような態度を明らかにしています。
しかし、これでは、整骨院の施術を認めておいて、後遺障害となると、非該当にする騙し討ちです。
ともかく、整骨院で施術を受けると、後遺障害は否定されるのです。よく、覚えておくことです。