1.高次脳機能障害とは?
交通事故による頭部外傷、水難事故や下腿骨の骨折に伴う肺脂肪塞栓による低酸素脳症、その他、外傷性くも膜下出血、脳梗塞や心筋梗塞などによって脳にダメージを受けたときに発症する後遺障害は、高次脳機能障害と呼ばれています。
頭部冠状断のイラスト
頭部外傷の治療は終了しているのに、
事故の前とは、人格がまるで変わり、すぐに激昂して暴力をふるうようになった?」
「記憶力に障害があり、さっき話したばかりの内容をもう忘れている?」
「2つ以上のことを、同時に処理することができない?」
このような異常を感じたときは、速やかに専門病院で診断を受けなければなりません。
高次脳機能障害と診断されたときは、まず最初に、専門的知識を有するNPOジコイチと専門医の協力による立証活動、そして交通事故に特化した弁護士による損害賠償交渉が不可欠となります。
事故から早期に、治療先に対応をお願いしなければならないことが、数多くあります。
フリーダイアル0120-716-110による電話相談、交通事故無料相談会に参加してください。
高次脳に特有な症状や行動
(1)経験則に基づく、高次脳機能障害者に特有な症状や行動
1)病識の欠如?
被害者本人に病識のないこと、つまり、ご本人は、自分は正常であると認識していることが、高次脳機能障害の最大の特徴であり、外見から、障害の深刻さを発見することが極めて困難です。
さらに、事故前と事故後の生活レベルの差を比較立証する作業は、相当な困難を伴います。
2)遂行機能障害 左右の前頭葉の損傷?
生活をする上で必要な情報を整理、計画して処理していく一連の作業が困難になります。
遂行機能障害では、PLAN=計画、DO=実行、SEE=確認が、困難な状態となります。
①指示されたことは、なんとか取りかかるが、自分から、積極的には、なにもしない。
「食器を洗って!」 と指示すると、食器は洗うのですが、洗った食器を水切りかごに入れ、布巾で拭いて食器棚に戻すことはできない、つまり、2つ以上のことを同時に行うことができない。
ガラス窓を拭くように指示すると、隣のガラス窓に移ることなく、一貫して同じガラス窓を拭き続ける。
②作業ミスや勘違いが連続する。
3)記憶障害 側頭葉の左右内側の損傷?
①5分前に話した内容を忘れるなど、短期記憶力に著しい障害がある。
②買い物を頼んでも、必要なものを買い忘れてしまう。
③物忘れを防ぐためにメモをしていても、メモの存在自体を忘れてしまう。
④約束した日時を記憶できない。
⑤あちこちに物を置き忘れ、いつも捜し回っている。
⑥日付・曜日・時間が理解できない。
4)失語症?
非流暢性失語 前頭葉左側の損傷?
流暢性失語と聴覚失認 側頭葉左側の損傷?
①うまく話すことができない。
②同じ言葉・質問を何度も繰返す。
③簡単な単語が出てこない、本が読めない。
④相手の話やテレビで放映している内容は理解できているようでも、自分の意思表示はできない。
⑤話していることが相手に思うように伝わらず、何回も繰り返さなければならない。
⑥こちらの話しは正しく理解しているようであるが、返事が言葉、文章になっておらず、会話が不成立。
⑦鈴や時計の音を聞かせても、なんの音か?理解できない。
聴覚失認とは、聴力は保たれているものの、語音の区別ができない障害です。
5)半側空間無視(はんそくくうかんむし) 頭頂葉右側の損傷?
自分が意識して見ている空間の片側、多くの例で、左側を見落とす障害です。
①食事の際、に左もしくは右側の食べ物を食べ残す。
②ドアを開いて、通過するときに、右もしくは左側にぶつかる。
③車椅子や歩いて廊下を移動していて、だんだん左もしくは右側に寄っていくなどの状態。
6)地誌的障害 側頭葉右側の損傷?
①自宅近くの商店街に出かけても、道が分からなくなり、一人で自宅に戻れない。
②近所の見取り図を描くように指示してもできない。
③いつも出かける近所のスーパーにたどり着けず、また自宅に帰ってくることもできない。
④地図を描いて渡しても、これを見ながら探すことができない。
⑤右折もしくは左折した途端、自分がいる場所が分からなくなる。
7)失行症 頭頂葉の損傷?
今までできていた行動ができなくなることを失行症、
今まで認識できていたものが、認識できなくなることを失認症といいます、
①手足は普通に動かすことができるのに、意図した動作や指示された動作がどうしてもできない状態となり、靴の紐が結べない、箸を使って食事ができなくなります。
②リハビリで作業療法を指示されても、動作が緩慢で、なにをやらせるにも大変な時間がかかります。
8)視覚失認と相貌失認 後頭葉の損傷?
失認とは、認知識別能力の障害のことで、具体的には、触覚失認、聴覚失認、視覚失認、身体失認、病態失認の5つに分類することができます。
失認症とは、今まで認識できていたことが、認識できなくなることです。
9)その他の障害、注意障害・行動や情緒の障害=社会的行動障害?
損傷を受けた部位と障害には、一定の因果関係が認められているのですが、これらの障害は頭部の特定の部位の障害ではなく、広範囲な領域にわたる損傷によって起ると考えられています。
①対人関係がうまくいかない、良好に維持することができない。
②失語症との関わりがありますが、意思の疎通がうまくできない。
③羞恥心がなくなり、暑ければ、他人の前でも、平気で裸になってしまう。
④こだわりが強く、情緒が不安定で、突然、暴力的になる。
⑤必要のないものを大量に購入する。
⑥カッターで手首を切るなどの、自傷行為、
⑦外傷性てんかん発作、
⑧手や足を無意味にパタパタ動かし、止めることができない、常動運動に陥る。
⑨嗅覚の脱失、
⑩排尿・排便障害、