3) 飼い犬の大型犬に噛まれる

飼い犬の大型犬に噛まれる

大阪地裁判決H20-5-30  平成19年(ワ)2773号  40:60
アルバイトが、雇用主の飼い犬、グレートデンに右前腕を噛まれたことで、民法718条動物占有者責任により損害賠償請求をした事案で、飼い主の賠償責任は認めるものの、被害者も危険性を一定程度認識していたとして40%の過失を認定しています。

見るからに凶暴そうな、グレートデンですが、ドイツ産で、体高76cm、体重54kg以上で、非常に大型、イノシシを捕まえる猟犬、闘犬、護身用の番犬としても活躍しています。
ドーベルマンと同様、飼い主には従順ですが、他の人には心を許しません。
私だったら、こんな犬には絶対に近づきません。
裁判では、被害者は、「この犬は噛まないので大丈夫!」 と聞いていたと主張するも、飼い主の妻がこの犬と散歩中に他のアルバイトの左腕をかんだことがあり、飼い主の関係者4名が反対尋問でこの犬は噛むと証言しており、飼い主が、この犬の安全性について、なにも説明をしていないのであればともかく、ことさらに、噛まないと伝えることは不自然かつ不合理であるとして、被害者の供述を信用できないとして退けています。
一方、飼い主についても、この犬が人を噛む危険な犬であることを明確に注意していたと認められる証拠がないと指摘、訴状では、被害者は、この犬の姿形から凶暴そうに見えていたので、避けて通っていたと主張しているところから、その危険性を一定程度、認識していたものと認め、被害者の過失割合は40%相当と判示しました。
訴状では、311万6401円の請求ですが、判決では、50万3745円+遅延利息の支払いの認定です。

NPOジコイチのコメント

私は、ラブラドール・レトリバーのマリリンを家族の一員として飼っていました。
見るからに優しい、温和しい犬で、人に吠えることもありませんが、それでも大型犬ですから、威圧感はあります。犬が嫌いであれば、近寄りたくないと思う人がいても、不思議ではありません。
自宅近くの交差点であっても、出合い頭に遭遇した人が驚いて車道に逃げ、車や単車と衝突する交通事故が発生するかも知れないのです。
飼い主としては、注意の上にも注意しなければなりません。
これも、個人賠償責任保険に加入していれば、被害者の治療費、慰謝料などが負担されます。