1) 電車対人の事故

電車対人の事故-過失割合の解説-

大阪地裁判決H18-2-16  平成16年(ワ)2103号  50:50
発車する電車に飛び乗ろうとしたが、バッグがドアに挟まり、これを抜き取ろうと電車と併走、転倒した事故で、被害者の過失を50%と認定しています。

時折、新聞などで報道される事故形態ですが、被害者過失が50%、厳しい認定です。
車掌に対しては、列車乗務員作業標準における基本動作では、電車の車掌は、発車時、ドアが閉まった瞬間に、乗客が鋏まれていないことを、ホームで両足着地の体勢で確認すべきと定められているのに、これを怠ったこと、さらに、この列車は定刻よりも20秒遅れで駅に到着しており、通常の発車時間よりも短い時間で発車させようとした可能性を否定できないとも指摘しています。

一方、被害者は、乗車促進のアナウンスがなされた後に、先頭車両に乗車するために3両目付近から先頭車両後方に移動、バッグを前方に差し出すような形で乗車しようとして、バッグをドアに挟んでいること、電車が発車後も、これに併走してバッグを外そうとしたことに過失があると認定されています。
つまり、アナウンスのあと、3両目であれば、問題なく乗車できたでしょう?
バッグがドアに挟まれても、あなたが、これをつかんで走らなければ、転倒もしなかったでしょう?
極めて、常識的な指摘をしているのです。

NPOジコイチのコメント

人身傷害保険の交通乗用具特約に加入していれば、これらの損害は支払われます。
交通乗用具特約を残している損保は、日新火災、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、AIG、全労済の5社のみで、それ以外の損保は、交通乗用具特約から撤退しています。