(2) 過失割合の交渉術

例えば、損保から、「本件事故の過失割合は30:70を想定しています。」
このような説明がなされたとき、被害者は、「交通事故は初めてで、そもそも過失割合なんてチンプンカンプンで分からないのですが、専門家が30:70と決定されたのですから、そのように判断された根拠をお教えいただけませんか? 専門家の説明に納得が得られれば、もちろん、それにしたがいます。」
このような、冷静で紳士的、爽やかな反応を示してください。

「オレの過失が30、なにを、このヤロー、ふざけんな!」
感情的な反応では、直ちにチョー生意気な損保弁護士の対応となり、貴方はボコボコにされます。

「事故現場で、加害者はすべて自分の責任と謝罪していますよ?」
「事故現場にやってきた警察官から、私に過失はないと説明を受けました?」

よくある反論ですが、加害者の供述は、日時の経過で猫の目のようにコロコロ変わるのが一般的であり、また警察官は、民事不介入の立場ですから、あとで裏を取ることができません。
貴方の、これらの説明が、採用されることはないので、言わないことです。

交渉のポイントは、根拠を明らかにして、お互いが妥当性を精査することです。
しかし、貴方は素人、損保は日常的に経験している専門家です。
したがって、貴方は手の内を見せず、損保には、書面による根拠のある説明を求めることになります。
ここは、大変重要なポイントです。

赤い本でも、独自の過失割合が解説されています。

判例タイムズから、該当する事故状況をピックアップし、基本過失割合で押し切ってしまう?
これが、損保の代表的な交渉スタイルですが、このときに使用される損保の決まり文句は、
「お互い動いていれば、過失は0にはなりませんよ?」
お互いに動いていたとしても、貴方に、

(1)道路交通法違反がないこと、
(2)本件事故を予見することができない状況であったこと、
(3)結果として、衝突の回避が不可能な状況であったこと、

(1)道路交通法違反がないこと、(2)本件事故を予見することができない状況であったこと、(3)結果として、衝突の回避が不可能な状況であったこと、

上記の3つは、過失0の要件であり、立証できれば、裁判所も貴方に過失を認めません。

判例タイムズに、事故状況が掲載されているときは、修正要素を検証して反論することになります。
判例タイムズに掲載例のないときは、合致する判例を損保に求めることになります。