(5) 過失割合のまとめ

この15年間、ジコイチは、全国の交通事故無料相談会で4100名以上の被害者と面談をしてきました。
過失割合では、グーグルマップで事故現場をモニターに表示し、トミカの車や道路模型を使用して、事故発生状況を確認していますが、被害者は、加害者の不注意をあげつらうことが多いのです。
本件事故の発生について、反省をされている被害者は、残念ながら、少数です。
やはり、どうして、本件事故が起こったのか? 
貴方は、まず、真摯に反省するところから始めないと、この問題解決は、前には進みません。

しかし、そうは言っても、損保の言いなりで、間違った過失割合を押しつけられるのも良しとしません。

交通事故に明るい弁護士であっても、過失割合の立証では、
①同時刻に事故現場に立ち、交通量、走行車両速度、交通動態から、供述との整合性を検証する。
②検察庁の刑事記録を緻密に分析し、加害者の供述の不審点を炙り出す。
③目撃者証言が必要なときは、事故現場に立て看板などを設置して目撃者情報を呼びかける。
④加害者、目撃者の供述に不審があるときは、両者の証人尋問で供述内容を突き崩す。
⑤加害者側のドライブレコーダーであっても、事故発生の前後を徹底的に分析する。
⑥両当事者の供述に警察官の誘導が明白であるときは、警察に、捜査のやり直しを求める。
以上の地道な立証活動を行っています。
つまり、過失割合の立証では、魔法の杖や必殺技、とっておきの決め手はありません。

平成初めの一時期、主として頚椎捻挫の発症を否定する目的で衝突速度などに関する工学鑑定が多用されたのですが、ほとんどの工学鑑定が、恣意的な前提条件を高校生物理の数式に落とし込んだだけのもので、資料が複数の裁判所で使い回しされていたこともあって、裁判所が不信感を抱き、現在では、タコグラフの解析などの限定された領域で参考にされているに過ぎません。
したがって、過失割合で工学鑑定を頼っても、裁判所が採用することはありません。