9) 車VS人の事故 3歳の男児がスーパーの駐車場内において貨物車後輪で轢かれる

東京地裁判決H15-7-29  平成14年(ワ)8958号  10:90
夜間、比較的明るいスーパーの駐車場内において、右折発進した普通貨物車の後輪で3歳男児が轢過され、死亡した事案について、加害車の前輪には、運動靴の左足かかと部分の靴跡がついており、轢過される前に転倒していたとしても、これを過失相殺の事由にはならないと判示しています。

駐車車両の多い駐車場内で、両親は、男児と7~8m離れて歩行しており、子どもの前後を両親が歩行するなど監護義務に過失が認められるとして、被害者側に10%の過失相殺を適用しています。

損保の反論
①目撃者証言により、男児は、路上に俯せ、横臥の状態で加害車両の右後輪に轢かれていることから、被害者が自ら転倒したものと思われ、路上横臥の事例を適用すべきである?
②本件事故は、買い物客で混雑する午後7時45分の夜間に発生しており、3歳の男児、被害者の両親には、監護すべき義務に違反していることが認められる?
③上記の2つを考慮すれば、被害者の過失割合は少なくとも30%を下らない?

裁判所は、①加害車両の右前輪タイヤの外側部に、被害者の運動靴の左足かかと部分の靴跡がついており、被害者は、加害車両の右後輪に轢過される前に、右前輪で左足の運動靴を踏まれ、転倒した可能性があること、
②加害者は、右後輪が何かに乗り上げた後、ドンと落ちる衝撃を感じたが、被害者を轢過したことには気がついておらず、被害者の両親が加害車両の方に駆け寄ってきたために車を停止させ、加害車両から降りた時点で、俯せに倒れている被害者を発見していること、
③本件事故が発生した午後7時45分ころは、駐車場には相当数の車両が駐車しており、家族連れを含む買物客が駐車場内を行き来している状況であったことから、車両の運転者としては、小さな子供が本件駐車場内を歩行していることを予測して、前後左右の安全を十分に確認した上で車両を進行させるべき注意義務があるにもかかわらず、加害者は、加害車両を駐車区画から再発進させるに当たり、加害車両の左側に注意を奪われ、右前方ないし右側方に人がいるかどうかを確認することなく、漫然と加害車両を右折発進させたことにより、加害車両の右側方を歩行していた被害者に接触、右後輪で轢過したものと判断され、本件事故の主たる原因は、加害者の不注意な運転方法にあると考えるのが相当である。

④しかし、一方で、被害者の両親についても、駐車場には、まだ相当数の車両が駐車しており、車両が往来している状態であり、しかも、当時は夜間であって、比較的明るいとはいえ、小さな子供は車両の運転者からは必ずしも発見が容易でない状況であったのであるから、被害者のような小さな子供を連れて本件駐車場内を歩行するときには、子供の手を取るか、子供の前後を両親が歩行するなどして、本件駐車場内を走行する車両からの危険を回避、子供の安全を確保すべき監護義務があったと考えるべきである。

⑤父は、車の鍵を開けるために母よりも10m以上を先行、被害者は母のさらに後方を歩行していて、本件事故発生時には、母と被害者の距離は7~8m開いており、両親にも、被害者の安全を確保すべき監護義務に違反した過失を認めざるを得ないものであり、上記の事実を総合すると、被害者側に10%の過失があるものというべきである。

神奈川県厚木市内のスーパーマーケットで発生した死亡事故ですが、実に、いたましい悲劇です。
この家族は、両親と、6歳の長男、3歳の次男、0歳の三男の5人家族です。
当日は、次男の保育園の入園手続きがあり、家族で出掛けました。
帰りにスーパーに立ち寄り、買い物を済ませて駐車場の車に戻る途中で、この悲劇的な事故が発生したのです。夫は0歳の三男を抱いて、車の鍵を開けるため、10m以上を先行、妻は両手に買い物袋を持って進み、その後ろを長男と次男が歩いており、急発進したトラックに次男が轢過されたものです。

NPOジコイチのコメント

子どもを連れてスーパーに出かけるのは、どちらの家族でも日常的なことです。
フリーダイアルにおける相談でも、スーパーとコンビニの駐車場内の事故が多く、私も、日常は、神経質に対応しています。立場上、NPOジコイチが100:0の事故を発生させることは許されないからです。
私の2人の怪獣は、歩かずに走り回る傾向で、「走るなボケ、ゆっくり歩け、コラー、ワレ、しばくぞ?」 
もう、ヤクザ顔負けの大声で牽制しています。
爺さんや婆さんと衝突して怪我をさせる? 我が子が車に轢かれる?
どちらも、絶対にあってはならないのです。
皆様も、注意の上にも、注意です。