Q18 自主的な早朝出勤と通勤災害

当社のOLの福島さんが、通勤途上の交差点を横断中に交通事故受傷しました。
福島さんは会社の始業時刻の1時間30分から2時間も前に出社しています。

始業までの時間は本を読んだり、英会話のテープを聞いたりして過ごしており、会社の仕事はしていないのですが、このような事情でも、通勤災害の適用ができるでしょうか?

A 小姑の嫁いびりのような質問です。

現実の総務、庶務、労務課には、柔軟性に乏しい担当者が多いので、いつも閉口しています。
さて、本件は通勤災害としての認定がなされます。
通勤とは、「労働者が就業に関し、自宅と就業の場所との間を合理的な経路・通勤方法により往復することを説明する。」 と説明されています。
本件では小姑じみた担当者が、「就業に関し?」 このことを問題としているのです。

通勤では、往復行為が業務と密接な関連をもって行われるとの要件を満たさなければなりません。
しかし、業務に直接関連のない目的の早出や、逆に時間後も会社に残っていることは、よく見られるケースであり、ここで、「就業に関し、」 が問題となるのは、「社会通念上、就業との関連性を失わせると認められるほどの長時間かどうか、」 このことが、問題になるに過ぎません。

S51-9-1基収第793号では、私用と考えられる組合の用務のために通常の出勤時間よりも1時間30分早く家を出た労働者が、途中被災したケースについて、「被災労働者が、労働組合の集会に参加する目的で、通常の出勤時刻より約1時間30分早く住居を出た行為は、社会通念上、就業との関連性を失わせると認められるほど所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻に行われたものとは言えないので、当該行為は通勤と認められる。」 との判断を示しています。
また、S49-11-15基収第1881号では終業後、2時間5分の組合用務で会社に残り、その後の通勤経路で被災したケースが通勤災害と認定されています。
「終業に関し、」 では、出勤も退勤も同じ条件とされています。
したがって、2時間程度であれば、社会通念上、就業との関連性を失うことはありません。

保険調査員時代、被害者の勤務先で、
「加害者がいるので労災は認められません。加害者が責任を持つのが筋というものです。」
「当社は原付通勤を禁止しておりますので、労災の適用はできません。」
「労災保険をしようすると保険料が上がりますので適用できません。」
「労災を使用すると、元請から仕事の発注を止められるので許可できません。」
挙句の果てには、「うちは労災保険に加入しておらず、適用はできません。」
いずれも、自信たっぷりに説明されるのです。

自主的な早朝出勤と通勤災害

私は、「理屈で喧嘩しても始まりません。その様なご意見であれば、これから管轄の労働基準監督署に出向き、直接請求で労災保険の適用とします。貴方の言っていることは労災では一切、通りません。
担当者としての、貴方の面目は丸潰れになりますが、さて、どうされますか?」
喧嘩を売ったかの説明をしました。
お陰で依頼の損保にはクレームが寄せられたのですが、損保は、クレームには慣れっことなっており、過剰な反応を示しません。例外なく、労災適用を推進する私は大変可愛がられたのです。