鼻の後遺障害

鼻の構造

鼻は、呼吸するときの空気の通り道であり、
①吸い込んだ空気を加温・加湿すること、
②細菌や有毒物質などに対する防御体制、臭いを感じること、
③発声で音を共鳴させるなど の役割を果たしています。

鼻の仕組みは、外鼻、鼻腔、副鼻腔の3つに分けることができます。

鼻の構造

鼻の外観を外鼻といい、外鼻の骨格は、骨と軟骨で構成されています。
鼻中の穴を鼻腔といい、鼻腔と交通する、顔面の骨の中にある空洞を副鼻腔といいます。

 鼻腔のしくみ
鼻腔は、その中央を鼻中隔という骨と軟骨で構成されている仕切りの壁によって、左の鼻腔と右の鼻腔に分かれています。

鼻腔の入り口部を外鼻孔といい、外鼻孔入った部分、鼻腔の内部を鼻前庭といいます。
鼻翼で囲まれている部分の鼻腔の内部が、ちょうど鼻前庭に相当し、鼻前庭には鼻毛が生えていて、吸い込んだ空気の中の大きなごみを取り除く働きをしています。
そして、鼻前庭から奥の部分は、鼻粘膜で覆われています。
鼻腔は単なる吹き抜け穴ではなく、複雑な構造をしているのです。
鼻粘膜には、線毛というごく細く短い毛がびっしりと生えており、鼻粘膜の中には、鼻腺が存在し、
絶えず微量の粘液が分泌されています。
1日に鼻腺から分泌される粘液の量は、1リットルにもなります。

鼻前庭を通過した空気中の小さなごみ、ほこり、細菌などの微生物は粘液に付着し、
線毛の運動によって鼻腔の奥へ運ばれ、喉から痰となって排出されます。
鼻の中の空気は、表面の粘液で湿気が加えられ、粘膜へ流れてくる血液によって温められます。
適度に温められ、湿り気を有するきれいな空気が、喉を通過して肺に送られています。

 顔の骨には、種々の形状の空洞が鼻腔をとり囲むように存在しており、
これらの空洞を総称して、副鼻腔と呼んでいます。
副鼻腔の内壁は、鼻粘膜と同じ種類の粘膜で覆われており、
副鼻腔の粘膜にも線毛が生えていて、副鼻腔に入ったごみを粘液層で捉えて外に排出しています。

(1)鼻の欠損

等級 内容 自賠責 喪失率
9 5:鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの 616 35

鼻の欠損とは、鼻軟骨部の全部または大部分の欠損をいいます。
機能に著しい障害を残すものとは、鼻呼吸困難または嗅覚脱失をいいます。
鼻の欠損は外貌の醜状としてとらえることができます。
鼻の欠損を外貌の醜状で申請すると、7級12号が認定されます。
この場合、先の9級5号と併合されることはなく、上位等級である7級12号が認定されます。

(2)嗅覚の脱失

等級 内容 自賠責 喪失率
12 嗅覚を脱失または鼻呼吸困難が存するもの 224 14
14 嗅覚の減退するもの 75 5

T&Tオルファクトメータで検査を受けます。
結果はオルファクトグラムで表示されます。
認知域値の平均嗅力損失値で、5.6以上のものが嗅覚脱失、2.6~5.5は嗅覚の減退と判断されます。

T&Tオルファクトメータ

嗅覚の脱失はアリナミン静脈注射による静脈性嗅覚検査でも判定が可能です。
治療先の大半は、フルスルチアミン・アリナミン検査(アリナミンFテスト)を行うのですが、Giroj調査事務所は、プルスルチアミン・アリナミン検査、つまりアリナミンPテストでないと受けつけてくれません。
T&Tオルファクトメーターを選択すれば、それらの問題は生じません。

耳鼻科の日常の診療で、鼻の欠損や嗅覚障害は例外的です。
頭部外傷を原因とする嗅覚の脱失は、高次脳機能障害では代表的な症状の1つで、脳神経外科や神経内科では多数例の経験がありますが、耳鼻科では全く経験していない医師もたくさんいます。
したがって、嗅覚の脱失は、担当科の紹介で検査のみの受診をすることになります。
被害者の勝手な判断で町の耳鼻科を受診、事故との因果関係の立証をお願いする?
これは、実にナンセンスで、協力が得られることはありません。
耳鼻科にお願いするのは、立証のための検査のみです。
治療先に耳鼻科がないときは、T&Tオルファクトメーターの設備のある耳鼻科をネット検索で調べ、治療先を指定して紹介をお願いしてください。
検査結果は後遺傷害診断書に記載を受け、検査表のすべてをコピーで回収、添付することになります。後遺障害診断、検査前にもう一度熟読し、万全の備えで臨んでください。