足趾の機能障害

等級 足趾の機能障害 自賠責 喪失率
7 11:両足の10本の足趾の全部の用を廃したもの 1051 56
9 15:1足の5本の足趾の全部の用を廃したもの 616 35
11 9:1足の母趾を含み、2本以上の足趾の用を廃したもの 331 20
12 12:①1足の母趾の用を廃したもの 224 14
12:②母趾を除き、他の4本の足趾の用を廃したもの
13 10:①1足の第2の足趾の用を廃したもの 139 9
10:②第2の足趾を含み2本の足趾の用を廃したもの
10:③第3の足趾以下の 3本の足趾の用を廃したもの
14 8:①1足の第3の足趾以下の2本の足趾の用を廃したもの 75 5
8:②第3趾の用を廃したもの
8:③第4趾の用を廃したもの
8:④第5趾の用を廃したもの

※足趾の用を廃したもの
足趾の用を廃したものとは、母趾では、IP関節の2分の1以上、その他の足趾では、DIP関節以上を失ったもの、母趾は、MTPとIP関節、第2趾では、MTP、PIP関節のいずれかが、健側に比較して運動可能領域が2分の1以下に制限されたもの、
第3、4、5趾では、完全強直もしくは完全麻痺を来したものをいいます。

1)母趾の関節

母趾MPの屈曲と伸展
母趾IPの屈曲と伸展
MTP関節 IP関節
運動 屈曲 伸展 合計 屈曲 伸展 合計
正常値 35 60 95 60 0 60
用廃 20 30 50 30 0 30

2)その他の足趾の関節

MPの屈曲と伸展

MIPの屈曲と伸展

MTP関節 PIP関節
運動 屈曲 伸展 合計 屈曲 伸展 合計
正常値 35 40 75 35 0 35
用廃 20 20 40 20 0 20

足趾の関節は、母趾では、趾先に近い方からIPとMTP関節、その他の足趾では、趾先に近い方から DIP、PIP、MTP関節といいます。
2分の1以下の可動域制限が後遺障害の対象とされるのは、母趾と第2趾のみです。
第3、4、5趾では、2分の1以下は適用されず、完全強直もしくは完全麻痺で用廃と判断されます。

腓骨神経麻痺の完全断裂では、足関節と足趾の5本全部の自動運動が不能となります。
しかし、医師が手を添える他動値では、正常値を示すのです。
こんなときは、後遺障害診断書に以下の記載を受けなければなりません。
「本件は神経麻痺であるので、自動値の比較で判断されたし。」

3下肢の神経麻痺

等級 下肢の神経麻痺 自賠責 喪失率
8 7:1下肢の3大関節中の1関節、足関節の用を廃したもの 819 45
9 15:1足の足趾の全部の用を廃したもの 616 35

下肢には、坐骨、腓骨と脛骨の3本の神経が、別々の経路を辿って足趾まで走行しており、神経損傷は、直接的な切断や、脱臼や骨折に伴って、これらの神経を圧迫することでも発症しています。
中でも、頻度の高い腓骨神経麻痺は、膝関節外側部と足関節の2カ所で発症しています。

下肢の神経

膝関節の外側部においては、強い打撲、膝関節の脱臼、腓骨近位端部の骨折に合併し、足関節においては、足関節の脱臼、足関節外顆部の強い打撲や腓骨の骨折に合併しています。
腓骨神経麻痺の完全断裂では、足関節は背屈・底屈の自動運動ができなくなり、同時に、すべての足趾の自動運動も不能となり、用を廃した状態となります。
神経伝達速度検査もしくは針筋電図検査により、脱神経所見を立証しなければなりません。

等級は、足関節の用廃で8級7号、足趾の用廃で9級15号、併合により7級が認定されます。
後遺障害診断書には、自動値のみの記載を受けます。
なぜなら、神経麻痺では、医師が手を添えての他動値は、正常値となるからです。
そして、後遺障害診断書に以下の記載を受けなければなりません。
「本件は神経麻痺であるので、自動値の比較で判断されたし。」
どんな傷病名であっても、後遺障害の申請は、念には念を入れなければなりません。
なぜなら、記載されていること、検査結果だけで審査されているからです。

下肢ではありませんが、骨盤骨、特に、仙腸関節の脱臼や仙骨の縦方向の骨折では、仙髄神経の損傷により、感覚は残しているものの、スタスタ歩けるほどの筋力はなく、痺れもあって、歩行が困難となり、排尿・排便障害を伴うこともあります。

坐骨・脛骨・腓骨・仙髄神経の麻痺は、「傷病名と後遺障害のポイント下肢・足趾」 で詳細を解説しています。