(3)眼球の運動障害-斜視と複視

等級 内容 自賠責 喪失率
11 1:両眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの 331 20
12 1:1眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの 224 14

眼球の運動は上下、内外、上下斜めの3対の外眼筋の一定の緊張で維持されています。
外眼筋の一部が麻痺すると、緊張状態が壊れ反対の方向に偏位します。
つまり、運動機能障害は、斜視、俗に言うロンパリと複視のことです。

自動車や自転車、歩行中の交通事故などで、頭部、眼部に対する強い打撃により斜視となることがあり、外傷性斜視と呼ばれています。
眼窩底ふきぬけ骨折は、斜視を伴う代表的な傷病名です。
頭部外傷、外傷性くも膜下出血では、外転神経などの視神経が影響を受け、眼球運動に障害が起こることもあります。

内斜視 外斜視 上斜視 下斜視

斜視には、内斜視、外斜視、上斜視、下斜視の4種類があります。
片目が正常な位置にあるときに、
①内斜視とは、もう片方の目が、内側に向いている、
②外斜視とは、もう片方の目が、外側に向いている、
③上斜視とは、もう片方の目が、上側に向いている、
④下斜視とは、もう片方の目が、下側に向いている状態のことです。

斜視の原因の1つに、眼球打撲による眼筋と呼ばれる目の筋肉の損傷があります。
眼球を動かす筋肉を外眼筋と呼びます。
外眼筋には6種類の筋肉があり、それぞれ眼球を下に向かせる上斜筋、眼球を上に向かせる下斜筋、眼球を上内側に向ける上直筋、眼球を下内側に向ける下直筋、眼球を内側に向ける内側直筋、眼球を外側に向ける外側直筋があり、眼球はこれら6つの筋肉の収縮によってバランスを保たれ、一定の視力を持った両眼視を可能としているのですが、外眼筋を構成するこれら6つの筋肉のいずれかもしくは複数の筋肉の損傷により、バランスが崩れると斜視や複視を発症するのです。

ゴールドマン視野計

後遺障害認定上は、ゴールドマン視野計を使用し、注視野を測定します。
注視野とは、頭部を固定した状態で、眼球の運動のみで見える範囲のことですが、単眼視では各方向 50 °両眼視では 45 °となります。

※単眼注視野の範囲

正常値 上50 上下50 外50 外下50 下50 下内50 内50 内上50 計400
右眼
左眼

注視野の広さが2分の1以下に制限されれば、著しい運動障害として、単眼で12級1号が、両眼で11級1号が認定されます。

眼球の運動障害-斜視と複視

眼球運動障害として後遺障害等級に該当しないものであっても、モノが二重に見える複視の症状があるときは、ヘスコオルジメーター検査を受け、立証します。
正面視の複視は、両眼で見ると高度の頭痛や眩暈が生じるので、日常生活や業務に著しい支障を来すものとして10級2号、左右上下の複視は正面視の複視ほどの大きな支障はないものの、軽度の頭痛や眼精疲労は認められるので、13級2号が認定されます。

視神経管骨折などの傷病名では、視神経管萎縮による視力障害と外傷性斜視による眼球運動障害を残すことがあります。
視力障害と眼球運動障害は、個別に立証して、併合による等級を獲得しなければなりません。