(1)失明・視力低下

等級 内容 自賠責 喪失率
1 1:両眼が失明※したもの 3000 100
2 1:1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下となったもの 2590 100
2:両眼の視力が0.02以下となったもの 2590 100
3 1:1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの 2219 100
4 1:両眼の視力が0.06以下になったもの 1889 92
5 1:1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの 1574 79
6 1:両眼の視力が0.1以下になったもの 1296 67
7 1:1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの 1051 56
8 1:1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下になったもの 819 45
9 1:両眼の視力が0.6以下になったもの 616 35
2:1眼の視力が0.06以下になったもの 616 35
10 1:1眼の視力が0.1以下になったもの 461 27
13 1:1眼の視力が0.6以下になったもの 139 9

視力障害では、頭部外傷による視神経損傷と、眼球の外傷を原因とするものに大別できるのですが、ここでは、眼球の外傷を原因とするものに限定して解説します。
視力は、万国式試視力表で検査します。

万国式試視力表

万国式試視力表

等級表で説明する視力とは、裸眼視力ではなく、矯正視力のことです。
矯正視力とは、眼鏡、コンタクトレンズ、眼内レンズなどの装用で得られた視力のことです。
ただし、眼鏡による矯正が不可能なときは、裸眼視力で後遺障害等級が認定されています。
失明とは、
①眼球が摘出されたもの、
②明暗を区別できないもの、
③ようやく明暗を区別できるもの、つまり矯正された視力で0.01未満をいいます。

両眼の視力障害は、等級表の両眼の項目で認定されています。
1眼ごとに等級を決めて併合することはありませんので、注意してください。

ただし、1眼の視力が0.6で、他眼の視力が0.02のときは、両眼の視力としてとらえれば9級1号となるのですが、1眼の視力障害では、8級1号に該当します。
この場合に限っては、併合はなされませんが、上位の8級1号が認定されています。

手動弁と指数弁

上記のイラストは、手動弁と指数弁を解説したものです。
手動弁とは、被害者の眼前で手を上下左右に動かし、動きの方向を弁別出来る能力を言います。
指数弁とは、被害者に指の数を答えさせ、距離によって視力を表します。
指数弁1mは、視力0.02、指数弁50cmは、視力0.01に相当します。
失明の検査では、暗室で、被害者の眼前で照明を点滅、明暗を弁別させる光覚弁検査もあります。

眼の直接的な外傷による視力障害は、前眼部・中間透光体・眼底部の検査で立証します。
前眼部、中間透光体は、細隙灯顕微鏡により、細隙灯(スリットランプ)からの細い光で眼球の各部を照らし、それを顕微鏡で拡大し、結膜、涙点から角膜、前房、虹彩、瞳孔、水晶体、硝子体などの組織を観察し、肉眼では分からない眼球内の外傷性異常を見つけ出します。

細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査
細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査

散瞳・無散瞳一体型眼底カメラ
散瞳・無散瞳一体型眼底カメラ

眼底部の外傷性異常所見は、眼底カメラで検査します。

視力検査は先ず、オートレフで裸眼の正確な状態を検査します。
例えば水晶体に外傷性の異常があれば、エラーで表示されるのです。
その後、万国式試視力検査で裸眼視力と矯正視力を計測します。
前眼部・中間透光体・眼底部に外傷性の器質的損傷が認められるときは、これらの検査結果を添付すれば後遺障害診断は完了します。

これらで、明らかな異常所見が認められない、それでも症状があるときは、ERG、電気生理学的検査を受けることになります。ERGは、網膜電位と訳すのですが、網膜に光刺激を与えたときに現れる網膜の活動電位をグラフにして記録したもので、被害者が意識的にごまかすことができません。
実際に、複数回を経験しているのですが、視力が悪いのに良く見せることはできませんが、実際は良く見えているのに、見えませんとなると、これは見破ることが困難です。
詐盲を防止する必要から、Giroj調査事務所も、ERGの検査結果を重視していると予想しています。

VEP、視覚誘発電位検査VEP、視覚誘発電位検査

眼球に対する直接的な外傷ではなく、視神経損傷が疑われるときは、VEP、視覚誘発電位検査を受けます。網膜から後頭葉に至る視覚伝達路の異常をチェックするもので、光刺激によって後頭葉の脳波を誘発し記録します。

参考までに、頚部捻挫でも、頚部交感神経異常=バレ・リュー症候群であれば、視力低下、調節力障害が発生することがありますが、矯正視力検査で右眼の視力が0.5であっても、13級1号の認定はありません。交感神経=自律神経異常による眼の症状は一過性のもので、治癒するからです。