下肢・足趾の切断障害

(1)下肢の切断障害

等級 下肢の切断障害 自賠責 喪失率
1 5:両下肢を膝関節以上で失ったもの 3000 100
①股関節において寛骨と大腿骨を離断したもの
②股関節と膝関節との間、つまり大腿部で切断したもの
③膝関節において、大腿骨と下腿骨を離断したもの
2 4:両下肢を足関節以上で失ったもの 2590 100
①膝関節と足関節との間、つまり下腿部において切断したもの
②足関節において、下腿骨と距骨とを離断したもの
4 5:1下肢を膝関節以上で失ったもの 1889 92
4 7:両足をリスフラン関節以上で失ったもの 1889 92
足根骨において切断したもの、中足骨と足根骨とを離断したもの
5 5:1下肢を足関節以上で失ったもの 1574 79
7 8:1足をリスフラン関節以上で失ったもの 1051 56

NPOジコイチの経験則

1)友人宅前の路上で、自車のトランクにゴルフバッグを積み込んでいるときに、前方不注視の乗用車が追突し、その際、両足を車体と車体の間に挟まれたもので、傷病名は、両側脛・腓骨開放性骨折、右大腿骨開放性骨折など、左下腿骨膝下切断で5級5号が認定されています。

2)路側帯を歩行中に、後方から大型貨物車に跳ね飛ばされ、その上、左下肢を轢過されたもので、傷病名は、左大腿骨開放性挫滅骨折など、左膝上の切断で4級5号が認定されています。

3)加害者のトンネル内における無謀な追い越しで正面衝突となったもので、右大腿骨々幹部開放性骨折、右下腿骨々幹部開放性骨折など、右大腿骨切断で4級5号、併合3級が認定されています。

4)スクーターで檀家に向かう途上の住職が、後方から乗用車の追突により跳ね飛ばされ、左大腿骨顆部開放性粉砕骨折、左膝窩動脈損傷により、左膝上切断となり、4級5号が認定されています。

5)直進中の自動二輪車に対向右折の普通貨物車が衝突し、右大腿骨頚部骨折、右膝関節の脱臼・骨折、右膝窩動脈の断裂により、右下肢膝上切断で4級5号が認定されています。

6)横断歩道を歩行中の被害者に、左折の貨物トラックが衝突、右骨盤マルゲーニュ骨折、内腸骨動脈損傷、出血性ショック、右大腿骨々幹部開放性骨折、右大腿部高度挫滅により、右膝上切断となり4級5号、併合3級が認定されています。

7)原付バイクで山間部を走行中、センターラインオーバーの乗用車と正面衝突したもので、右脛・腓骨開放性骨折、右膝窩動脈断裂などにより、右膝上切断となり、4級5号が認定されています。

8)信号機の設置された交差点で、直進車と対向右折トラックが出合い頭衝突し、そのはずみで、トラックが前方の歩道に乗り上げ、信号待ちの歩行者を跳ね飛ばしたもので、右脛・腓骨開放性挫滅骨折、左膝高原骨折などで、右膝下の切断で5級5号、左膝の用廃との併合で3級が認定されています。

膝窩

膝窩とは、膝の後ろのくぼんだ部分です。

下肢の欠損、切断は、歩行者や自転車VS自動車、原付や自動二輪車VS自動車が中心ですが、センターラインオーバーによる車同士の正面衝突でも発生しています。
大腿骨果部骨折、膝関節脱臼、脛・腓骨開放骨折などに合併する膝窩動脈損傷は、血行再建が遅れると、膝上切断となる重症例です。

切断肢は、XP撮影で容易に立証することができます。
いずれも、連携の弁護士が受任し、地方裁判所支払基準をベースに円満解決としています。
多少の被害者過失があっても、人身傷害保険に加入していれば、穴埋めすることができます。
相手損保との話し合い解決は、選択肢にありません。

(2)足指の切断障害

足指の切断障害

足趾は、母趾から順に、第1、2、3、4、5趾といいます。
第1趾の関節は、趾先に近い方からIP、MTPと言い、その他の趾関節は、趾先に近い方から DIP、PIP、MTPと呼び、足趾を失ったものとは、第1趾では、IPより先、その他の趾では、PIPより先を失ったものをいいます。
両足の足趾の全部を失えば5級8号が、1足の足趾の全部を失えば8級10号が認定されます。
交通事故外傷に伴う感染症により、切断したものも含まれています。
切断趾は、XP撮影で容易に立証することができます。

等級 足趾の切断障害 自賠責 喪失率
5 8:両足の足趾の全部を失ったもの 1574 79
8 10:1足の足趾の全部を失ったもの 819 45
9 14:1足の母趾を含み 2趾以上を失ったもの 616 35
10 9:1足の母趾を失ったもの 461 27
9:1足の母指以外の4趾を失ったもの
12 11:1足の第2の足趾を失ったもの 224 14
11:1足の第2の足趾を含み2の足趾を失ったもの
11:1足の第3、4、5の足趾を失ったもの
13 9:1足の第3趾以下の2の足趾を失ったもの 139 9
9:1足の第3趾を失ったもの
9:1足の第4趾を失ったもの
9:1足の第5趾を失ったもの

自動車対人賠償保険認定要領では、喪失率、喪失期間については、別表はあくまでも参考とし、障害の部位・程度、被害者の年齢・性別・職業・現実の減収額などを考慮して妥当な喪失率、喪失期間を認定すると記載されているのですが、これが、被害者に有利に運用されることはありません。

37歳で電気工事業を自営している男性が、1足の母趾を切断し、10級9号が認定されたとき、
事故前1年間の年収、418万2000円、喪失率27%、喪失年数30年ライプニッツ15.3725
損保は、418万2000円×0.27×10.3797=1172万0134円を提示してくるのが普通です。
10.3797は、喪失期間を15年としたライプニッツ係数です。

37歳で地方公務員の男性なら、事故後も減収していないとして逸失利益を否定してきます。

つまり、足趾の切断であっても、仕事によっては、逸失利益の喪失率・喪失期間に大きな影響を与えることが予想されるのです。例えば、先の電気工事業では、長時間の立ち仕事や、現場での高所作業ができないことも考えられるのです。
となると、立ち仕事や高所作業を伴うときは、支障の程度、具体的な減収額などを立証して、実情に適合した逸失利益の喪失率、喪失期間で争うことになります。
これらは、弁護士が裁判所で立証する作業となります。
下肢の切断は、言うまでもないことですが、足趾の切断であっても、弁護士が立証して、地方裁判所支払基準で損害賠償を実現する領域です。

※自動車対人賠償保険認定要領
損保の対人保険の細かい運用規定を定めたものです。