上肢の変形障害

(1)上肢の偽関節

近年、医学の進歩に伴い、少数例となっています。
なお、上肢の短縮は、等級認定の対象として扱われません

上肢の変形障害

偽関節とは、長管骨の骨折部の骨癒合がストップし、関節化して、異常可動性を示す状態です。
医師は、長管骨の一部でも、癒合していなければ、偽関節と診断していますが、調査事務所は、周囲のすべての骨癒合が停止し、異常可動性が認められるものを偽関節と規定しています。

後段で詳しく説明していますが、医学の進歩により、偽関節の傷病名はなくなりつつあります。

等級 偽関節を残すもの 自賠責 喪失率
7 9:1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 1051 56
①上腕骨に異常可動性のある偽関節を残し、硬性装具を常に必要とするもの
②橈骨と尺骨に異常可動性のある偽関節を残し、硬性装具を常に必要とするもの
8 8:1上肢に偽関節を残すもの 819 45
①上腕骨に偽関節を残し、物の保持、移動に時々、硬性装具を必要とするもの
②橈骨と尺骨に偽関節を残し、物の保持、移動に時々、硬性装具を必要とするもの
12 8:長管骨に変形をのこすもの 224 14
①橈骨に偽関節を残し、物の保持、移動に、硬性補装具を必要としないもの
②尺骨に偽関節を残し、物の保持、移動に、硬性補装具を必要としないもの

上肢の変形障害

調査事務所は、上肢の役割について、物を保持し移動させることと規定した上で、
偽関節を残し、異常な可動性のために、
①常に、硬性補装具を必要とするものは、著しい運動障害として7級9号、
②ときどき、硬性補装具を必要とするものは8級8号、
③硬性補装具を必要としないものは12級8号に区分しています。

※例外規定 上腕骨、橈骨または尺骨の遠位端部の偽関節

等級 上腕と前腕の遠位端の偽関節 自賠責 喪失率
12 8:上腕骨の遠位端、骨端部の偽関節は、12級8号として評価し、肘関節の機能障害と比較し、いずれか上位の等級を認定する。 224 14
8:橈骨および尺骨の遠位端、骨端部の偽関節は、12級8号と評価し、手関節の機能障害と比較し、いずれか上位の等級を認定する。

※カパンジー法
前腕の回内・回外運動の改善と手関節の安定化を図る目的の手術で、尺骨の一部を切り離す手術をカパンジー法と言います。
カパンジー法が実施されたときは、尺骨は偽関節となりますが、前腕の保持機能には、ほとんど影響を与えることがなく、硬性補装具を必要とすることも考えられないところから、長管骨に奇形を残すものとして12級8号が認定されています。

※ダラー法
前腕の回内・回外を改善させる目的で尺骨の遠位端を欠損させる手術をダラー法と言います。
遠位端の切除ですから、偽関節には該当しません。
これにより、なんらかの障害を残したときは、その障害に応じて、別途判断することとされています。

(2)上肢 長管骨の変形

上肢 長管骨の変形

15°以上の屈曲変形がXPで確認できることが認定要件です。
これ以外では、回旋変形癒合と遠位端部の欠損、直径の減少が後遺障害として規定されています。

1)長管骨の屈曲変形

等級 長管骨の屈曲変形 自賠責 喪失率
12 8: 15°以上に屈曲変形したもの 224 14

2)長管骨の回旋変形癒合

等級 長管骨の回旋変形癒合 自賠責 喪失率
12 8:上腕骨の回旋変形癒合は、上腕骨が50°以上、外旋or内旋して変形癒合したもの 224 14
①外旋変形癒合では、肩関節の最大内旋位が50°以下であること
②内旋変形癒合では、肩関節の最大外旋位が10°以下であること
③いずれも、変形癒合がXP写真で確認できること

3)上腕骨、橈骨または尺骨の遠位端部の欠損

等級 上腕骨、橈骨または尺骨の遠位端部の欠損 自賠責 喪失率
12 8:上腕骨、橈骨または尺骨の骨端部が殆ど欠損したもの 224 14
①欠損により、肘や手関節に機能障害を残したときは、変形と機能障害のいずれか上位で、等級が認定されています。
②回内・回外の改善を目的に、尺骨の遠位端を切除したときは、偽関節としてではなく、長管骨に変形を残すものとして認定されます。

4)上腕骨、橈骨または尺骨の直径の減少

等級 上腕骨、橈骨または尺骨の直径の減少 自賠責 喪失率
12 8:上腕骨の直径が3分の1以上減少したもの 224 14
8:橈骨の直径が2分の1以上減少したもの
8:尺骨の直径が2分の1以上減少したもの
いずれも、骨端部の直径は考慮されません。

ここまで、下肢の偽関節と変形障害を解説してきましたが、近年、医療技術は目覚ましい進化を遂げており、偽関節や変形癒合は、数が少なく、あまり聞かなくなりました。

仮に、偽関節、変形や骨短縮が発生しても、以下に紹介する専門病院であれば、チッピングやイリザロフの技術を駆使して、元通りに治癒させています。

名称 総合南東北病院 外傷センター
外傷を専門として治療するセンターで、外傷の救急医療からリハビリテーション、そして骨折後遺症の機能再建まで、幅広く対応できる専門の治療先です。
所在地 福島県郡山市八山田七丁目161
電話予約センター 0120-14-5420 診察には、紹介状が必要です。
医師 松下 隆センター長と7名の専門医