その他の体幹骨の変形

等級 その他の体幹骨の変形 自賠責 喪失率
12 5:鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの 224 14

その他の体幹骨とは、鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨のことで、いずれも骨折後の変形障害のみが、後遺障害の対象とされています。

(1)鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの

①裸体となったとき、変形や欠損が明らかに分かる程度のものは12級5号が認定されます。
XP画像でやっと確認できる程度のものは非該当です。

②肋骨の変形は、その本数、程度、部位などに関係なく、肋骨全体を一括して1つの障害として取り扱うこととし、肋軟骨についても、肋骨に準じて取り扱われます。

肋骨

肋骨

③鎖骨に偽関節を残しているときは、裸体となったとき、変形が明らかにわかる程度のものであれば、12級5号が認定されます。

骨盤骨

④仙骨と尾骨の変形では、以前、仙骨の離断骨折について、これを骨盤骨の変形でなく、脊柱骨の変形として11級7号を認めさせた武勇伝がありますが、仕返しなのか、改正により、仙骨は骨盤骨の変形として評価されることに変更され、尾骨の変形は後遺障害の対象から外されました。

(2)後遺障害認定上の注意事項

1)肋骨は体幹骨ですから、骨折後の変形が裸体で確認できれば12級5号が認定されます。
左右横側の多発肋骨骨折では、これらの変形が確認できることがあります。
肥満気味で目立たないときには、ダイエットに努力しなければなりません。
ただし、胸部前側での骨折では、特に女性では、バストに隠れて確認することができません。
そんなときは、諦めることになりますが、多発骨折では、骨折部痛を訴えることがあります。
3DCTで肋骨の変形癒合を立証し、痛みの神経症状で14級9号を目指します。

2)胸部前側で、肋骨が胸骨と接する、イラストの青い部分は軟骨で形成されています。
衝撃を受けたとき、軟骨部で肋骨がたわむことにより、肺や心臓を保護しているのです。
この肋軟骨部の骨折では、ジクジクとした痛みを残します。
こんなときは、骨シンチグラフィー検査を受けます。
放射性同位元素が肋軟骨骨折部に集積している像が確認できたときは、肋軟骨骨折を他覚的検査で立証したことになり、痛みの神経症状は、14級9号として評価されています。
XPでは、軟骨は確認できません。
痛みを訴えても、骨シンチグラフィーで立証しない限り、等級の認定はありません。

3)体幹骨に2カ所以上の変形が存在するときは、これらを併合し11級が認定されます。

4)骨盤骨折に伴う骨盤骨の変形は、女性の場合、正常な産道の確保ができているかどうかを産婦人科で確認しておく必要があります。

尾骨骨折による屈曲変形

比較的狭骨盤または狭骨盤により、正常分娩が難しく、帝王切開に寄らざるを得ない変形があれば、通常の変形障害とは違った損害賠償請求に発展するからです。
比較的狭骨盤が立証できたときは、胸腹部臓器の障害として11級10号が認定されています。

先に、尾骨の変形は後遺障害の対象から外されたと説明していますが、女性の尾骨先端が内向きに変形し、正常分娩を妨げているときは、やはり、帝王切開に寄らざるを得ません。
このケースでも、胸腹部臓器の障害として11級10号が認定されています。

5)右鎖骨骨折後の鎖骨の変形と、右肩関節に2分の1以下の運動制限を残したときは、併合により9級が認定されます。

6)骨盤骨の変形に伴って下肢の短縮が生じたときは、等級は併合されず、変形障害と短縮障害を比較して、いずれか上位の等級が認定されます。