Q12 障害(補償)給付の時効

A 労災保険法42条は、「療養(補償)給付、休業(補償)給付、葬祭給付を受ける権利は2年を経過したとき、障害(補償)給付、遺族(補償)給付、障害給付、遺族給付を受ける権利は、5年を経過したときは、時効消滅する。」 と規定しています。
時効の起算点は、休業(補償)給付については、休業の日ごとにその翌日から2年、障害(補償)給付については、傷病の治った日の翌日から5年、遺族(補償)給付は、被害者が死亡した日の翌日から5年となっています。
それぞれの保険給付は、時効期間内に請求をしなければ、保険給付を受ける権利は消滅します。

障害(補償)給付の時効

※保険調査員時代の失敗例
被害者の治療費について、健康保険の適用をするようにとの損保の依頼がなされました。
ご本人は重傷ですから、ご家族と面談し、事故当時が業務中であることを知りました。
業務中では、労災保険の業務災害の適用となります。
書式を作成し、勤務先の捺印と被害者の捺印を受け、労働基準監督署に提出、治療先にも様式第5号の用紙を提出し、初診からの適用をお願いし、了承を得ました。

それから3年を経過して、今度は医療調査、治療の打ち切りと示談の依頼がなされました。
被害者は、この間も外傷性てんかんの治療を継続していました。
被害者同席で医師面談を行い、後遺障害等級の詳細を説明、今後も治療費を損保が負担することを条件として、症状固定について、被害者とご家族の同意を得ました。
ところが、後遺障害診断を受けている最中に、休業損害の支払が一方的に打ち切られたのです。
すでに治療費を含む既払い額が2500万円を超え、内払いは役員決裁となっていたのですが、「これ以上の内払い稟議を役員に上げることは、担当者の立場を危うくさせる。」 サラリーマンの保身、センター所長の決断です。損保の依頼で治療の打ち切りを完了し、後遺障害診断を進めている私は、2階に上がって梯子を外されたのです。
本件は、3年前に、初診から労災保険の適用としているのです。
休業損害の全額は損保が負担していたのですが、労災には休業特別支給金の請求が可能です。
これは休業損害額の20%となります。
早速、勤務先で書類を取り付け、労働基準監督署に請求しました。
請求したのは3年と2か月分ですが、振り込まれたのは、2年分でした。
時効が完成しており、請求日から遡及できたのは、2年間に過ぎません。
一体、誰の責任で、こんな失態が生じたのか?
治療の長期化が想定されたのに、ズルズルと休業損害を払い続けた損保、査定担当者の責任です。
当初から、労災保険に対して休業給付金と休業特別支給金の請求を行い、損保は、不足分の40%を
負担していれば、役員稟議になることもなかったのです。
さらには、会社の労災担当者の責任です。
しかし、小規模の事業所では、労災担当者が配置されておらず、
「どうしたらいいか、まるで分らない?」 種々の請求が放置されているケースが大半です。
せっかくの請求も、時効消滅であれば、復元の方法がありません。
反省の残る、経験でした。