Q5 転職前の疾病が、転職後に悪化したときは?

A 先に治癒について説明をいたしました。

転職前の疾病が、転職後に悪化したときは?

労災保険の治癒とは、負傷にあっては、創面が癒着して、その症状が安定し医療効果がもはや期待できなくなった状態、疾病にあっては急性症状が消退し、慢性症状は持続していても、その症状が安定し医療効果がこれ以上期待し得ない状態になったときと規定されています。
つまり、労災保険の治癒の概念は、症状固定であって、傷病の全治を意味していません。
これは、損保、裁判所だって、同じ考えです。

今回は再発を問題にしています。
一旦、治癒と認定されても、その後の自然的経過の中で再発するケースが予想されます。
私の担当する被害者は、S51年に右股関節脱臼骨折で人工骨頭置換術を受けました。
その後、H6年に再置換術を受け、H15-6に、かなり大がかりな再々置換術を受けました。
再発が、労災事故を原因としたものと医学的に認められ、さらに、療養によって症状が改善する見込みがあるときは、制度上これを再発とし、治癒と同時に消滅した災害補償法上の権利義務を再び発生させる法律効果を持たせているのです。
先の件も、再発と認められ、転職前の事業所で支給されていた平均賃金で休業給付が支給され、転職前の会社の労災保険で処理がなされました。

治療の結果、前の治癒時の状態にまで回復しないケースは、残存障害について改めて障害等級の認定を申請することになります。

損保であれば、示談書に別途協議を書き加えていても、治療費や休業損害の請求となると裁判で決着をつけるしか、方法はありません。
仕方なく、健保適用で、治療費の一部を負担して手術を受けます。
休業損害も、健保の傷病手当金に請求することになります。
しかし、国保では、傷病手当金の支給がなく、蓄えを取り崩すことになります。
術後、上位等級の可能性のあるときは、Giroj調査事務所に後遺障害の異議申立を行い、上位等級が認定されたときは、以前の認定等級との差額が振り込まれます。
これを超える損害は、訴訟で決着をつけることになります。
この点において、労災保険は、被害者にとって、願ったり叶ったりです。