Q4 治癒とは、どんな状態を言うのですか?

A 通常、治癒とは、完璧に治り、治療の必要がなくなったことです。
医学や損保では、一定の後遺症を残した状態で、治療を終えたときは、症状固定といいます。
ところが、労災保険には症状固定の単語がありません。

S23-1-13基災発第3号では、
①負傷にあっては創面の治癒したとき、
②疾病にあっては急性症状が消退し、慢性症状に持続しても医療効果を期待し得ない状態となったときなどであって、これらの結果として残された欠損、機能障害、神経症状などは廃失として障害補償の対象となると解説しています。つまり、労災では、医師が症状固定であり、治療の効果が得られないと診断した日を治癒日というのです。
理屈は、その通りですが、症状を訴えて通院してくる限り、主治医も症状固定とは言い難いのです。
傷病には精神作用が伴いますから、被害者によっては治療が長期化することも考えられます。
そこで、労災保険はその目安を受傷から1年6カ月後と定めています。
これは、脊髄損傷や高次脳機能障害であってもそのように取り扱っています。

後遺障害は、傷病名ごとに等級のハードルが設定されています。
例えば高次脳機能障害では1、2、3、5、7、9級の6つのハードルが設定されているのです。
被害者の自然治癒力が働いて、このハードルを飛び越えたときは、等級は薄められ、損害賠償額は大幅に減額されることになります。
後遺障害等級は症状固定時の所見で決定がなされているのです。
その後の回復は、被害者の努力によるもので、改善がなされても等級に変更はありません。
当然、獲得した損害賠償金を返還する必要もありませんし、請求もなされません。

労災における治癒の定義とは

このことを、フローレンス・ジョイナーはハードルを飛び越えて金メダルを獲得しましたが、被害者は後遺障害等級のハードルを超えてはならないと分かりやすく説明しているのです。

労災における治癒の定義とは

顔面の醜状痕は、相当にひどいもので7級12号、5㎝以上の線状痕で9級16号、3㎝以上で12級14号の3つのハードルが設定されています。
7級は1051万円、9級は616万円、12級は224万円、これは自賠責保険の評価です。
では、4.9㎝は、3cm以上5㎝以下で12級です。
2.9㎝は、3㎝以下で非該当、後遺障害としての評価は0円です。
ご承知と思いますが、キズは日時の経過で少しずつ縮まっていくのです。
5㎝が2㎝に縮まることはありませんが、4.5㎝にはなるのです。
3㎝も消えてなくなることは絶対にありませんが、2.5㎝にはなるのです。
616万円が224万円に、224万円が0円になって、動揺しない被害者はいません。
「1㎜やし、まけて?」 Giroj調査事務所のお爺さんには、そんなジョークは通じないのです。

右足関節内・外果骨折で、右足首の可動域が悪くなりました。

労災における治癒の定義とは

この場合、左足と比較して、全く動かなければ8級7号、2分の1以下であれば10級11号、4分の3以下であれば12級7号の3つのハードルが設定されています。
8級は819万円、10級は461万円、12級は224万円、自賠責保険の評価です。
2分の1+5°では12級7号、4分の3+5°になると非該当で、後遺障害の評価は0円となります。
時間が経過すれば、どんな被害者にも、自然治癒力が働くのです。
大きな改善は得られませんが、4分の3+5°は充分にあり得るのです。
では、どうしたらいいのか、受傷後6カ月を経過したら症状固定として、後遺障害診断を受けるのです。

胃癌で胃の全摘術、心臓移植であっても、6カ月もすれば、全員が社会復帰をしています。
交通事故に限って、治療が長期化するなんて、そんな屁理屈は通用しないのです。

労災における治癒の定義とは

男女交際でも、お金儲けでも、タイミングがあるのです。
タイミングを逃して、ハードルを跳び越し後遺障害が非該当では、泣くに泣けない大失態で、NPOジコイチで学習しておられる被害者に限って、あっては、ならないのです。