Q3 残業の立証方法について

A 労働審判などで、残業代を請求するときは、残業をした証拠を示さなければなりません。
タイムカードがあれば、確実な証拠になり、請求も簡単ですが、打刻前の早出、打刻後の残業、つまりサービス残業となると、立証は困難となります。

首都圏が地盤のスーパーいなげやで2014-6-5に発生した男性店員の過労死では、担当した弁護士が、警備システムの管理記録からサービス残業を立証し、過労死認定につなげました。

残業の立証方法について

タイムカードでは、発症前の4カ月平均の時間外労働時間は、75時間53分であり、残業規制の上限である2~6カ月平均で、1カ月がいずれも80時間以上、単月で100時間を下回っていたのです。
これで諦めることなく、サービス残業を立証した弁護士の立証活動に、敬意を表します。

運送業の運転手であれば、デジタルタコグラフで立証することができます。
タイムカードのない事務職では、出勤・退勤前後のメールの履歴などは証拠となります。
毎日の業務報告書に記載された就労時間の記録なども、客観性のある証拠となります。
個人が記載した出退勤に関する手帳のメモだけでは、信憑性が低く、認定は微妙です。
請求する全期間について残業の証拠がなくても、客観的に証拠となるものが1カ月分でもあれば、他の時期も同じように仕事をしていた推定がなされるので、残業代を請求することができます。