Q5 店長などの管理職と残業手当

店長などの管理職と残業手当

店長は管理職?

A 確かに、労働基準法41条2号の管理・監督者に該当するときは、残業代の請求はできません。
そんな事情で、一般的には、管理職は残業代を請求できないと信じられています。
しかし、労働基準法上の管理・監督者と、一般的な管理職とは、異なる概念です。

※東京地裁判決 2008-1-28
日本マクドナルドの直営店店長が、会社側が店長を管理監督者とみなして残業代を払わないのは違法であるとして、未払い残業代などの支払いを求めた裁判で、斎藤巌裁判官は原告の主張を認め、過去2年分の未払い残業代など約750万円の支払いを命じました。

判決は、管理監督者は、経営者と一体的な立場で活動することを要請されてもやむを得ない重要な職務と権限を付与されている立場にあると指摘した上で、日本マクドナルドの直営店店長については
①権限は店舗内に限られ、企業全体の経営方針などの決定過程に関与している事実は認められない。②勤務実態からすると、労働時間に関する自由裁量性があったとは認められない。
として、管理監督者には当たらないと判示しています。

管理・監督者にあたるかの3つの要件
①事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限が認められていること。
オーナー社長の君臨する中小企業では、上記の要件を満たすことは考えられません。
東京地裁も、管理・監督者の該当性は一般論としては厳しく判断するとしています。

②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること。
欠勤・遅刻・早退では、管理職は報告・届出、一般社員は、会社の承認を必要としていること、
管理職は、時間と賃金を切断、完全月給制であり、一般社員は時間と賃金が連動していること、

③一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇が与えられていること。
首都圏であれば、月給30万円以下で管理・監督者と認定されることはありません。