年俸制でも残業代の支払いは必要です。
A 聞こえはいいのですが、年俸制となると、実際に働く前に給料の額が決定されますから、年俸が決定されるタイミングでは、残業時間を把握することができません。
月給制を単純に年俸制にしたのであれば、残業代は、別途計算して追加払いすることになります。
年俸制に切り替えても毎月残業代の計算をするとなれば、会社にとっては余分な手間が増えるので、年棒の計算に、あらかじめ、一定の残業時間を含めておく方法が考えられます。
①年棒には、1カ月あたり30時間の時間外労働手当を含む
②年棒には1年あたり7日分の休日出勤手当を含む
③年棒には1カ月あたり7万円分の時間外労働、休日出勤手当を含む
上記のように支給条件を決定しておくと、年棒に含むものと規定しても違法ではありません。
しかし、組み入れた以上の残業や休日出勤が発生したときは、追加の支払いが必要となります。
労働基準法には罰則規定があり、刑法と同じ運用で、怠れば違法行為が成立します。
年俸制を採用したとしても、会社は社員の労働時間を管理・把握しなければならないのです。
「当社は年俸制だから残業手当は無いよ?」 これは通用しないのです。