1)安心してください。
労働基準法16条では、使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めています。
資格を取らせてあげるから、3年間は退職しないや退職するときは、講習費用の倍額を払うなどの取り決めは、当然に無効となります。
次の人が決まるまで辞職させないというのも、よく耳にしますが、憲法22条では、なにびとも、公共の福祉に反しない限り、居住、移転および職業選択の自由を有すると明記されており、使用者の都合で退職を禁止することはできないのです。
退職するということは、退職届であって、退職願ではありません。
労働基準法の規定で、会社が社員を解雇するときは、1カ月以上前に告知することとされていますが、社員が退職するときは、民法で2週間前に通告すればよいとされています。
退職を拒絶されたときは、退職届をFAX送信し、2週間の有給休暇届を送って、出勤しません。
退職にあたり、罰金や賠償金などと賃金の相殺を言われたときは、キッパリと断ります。
損害賠償請求については、請求明細の送付を要求し、納得できないときは、裁判所で争いますと宣言すればいいのです。
私個人の考えでは、会社と社員が法律を楯に火花を散らすのではなく、協議の上、十分な引継ぎを行って、円満退社とすることを目標とすべきです。
①しかし、会社の負担で運転免許を取得したのに、交付された日に退職届けを出して消えた?
②社運を賭けた建物の設計を目的に、設計事務所に雇用された、1級建築士が、その設計を完成させることなく、自己都合で退職し、その設計事務所は、発注元から契約をキャンセルされた?
③会社から高額の費用援助で、海外の大学院に留学、MBAを取得して帰国した途端に退職した?
このように、殺伐とした事件も、現実に発生しており、平和主義ですべてを解決することはできません。
2)社員が損害賠償請求を受けるリスク?
「あんたの採用や教育にかかった費用を返せ?」
「シフトに穴を空けた責任を取れ?」
こんなレベルであれば、法的に根拠のない脅しであり、屈する必要はありません。
しかし、有期契約で雇用されているときは、事業主はやむをえない事情がない限り、契約期間の途中解雇はできませんが、社員も契約期間の途中で正当な理由がなく退職することは許されていません。
契約期間中に、
もっと良い仕事が見つかった?
なんとなく仕事が嫌になった?
など、単なる自己都合で退職するときには、その退職で会社に損害が生じたことについて因果関係が立証されたときには、社員は、会社に対して損害賠償を支払わなければなりません。
妊娠や出産、病気、親族の介護、職場でのいじめなどは、正当な理由となります。
先の②に該当するようなときは、損害賠償請求を受ける確率が高まります。