Q12 メンタルヘルスと解雇について

A メンタルヘルスとは、心の健康を意味しますが、厚生労働省は、過重労働の強制などによる心の病として、アルコール依存症、うつ病、強迫性障害、摂食障害、双極性障害、統合失調症、薬物依存症、パニック障害・不安障害、PTSD、認知症など10の疾患名をピックアップしています。

多くの企業は、就業規則の普通解雇の要件の1つに、「心身の状態が業務に耐えられないとき、」 を記載しており、この就業規則の規定を適用するのであれば、社員を解雇することは容易とも思われるのですが、雇用契約は、社員の生活に直結する問題であり、社員のメンタルヘルスの問題に対する保護が重要視されている現状では、うつ病などにより、社員を直ちに解雇することは困難です。

メンタルヘルスと解雇について

1)うつ病などで、業務に支障が生じている社員を解雇するのに必要な手順

①休職制度を利用しての治療を指示したのか?

うつ病の発症により、仕事に支障が生じているときは、会社は、あなたに休職制度を用いて、治療に必要な期間を与えなければなりません。

②休職期間の終了と復職の判定をしているか?

休職期間を終えた後に、業務に復職できるかどうかは、社員の同意を得て、治療先の主治医や、会社の産業医などから、復職の可否と、復職させる際の注意点、例えば、業務内容の変更、業務内容の緩和、業務時間の短縮などの意見を聴取し、復職が可能かどうかの判定をしなければなりません。

復職が可能と判断されたときは、精神疾患の回復程度に応じ、業務内容や業務時間について緩和措置などの配慮をとらなければなりません。
これらの休職制度の利用や、復職後の業務緩和措置などを行わずに、従業員を解雇したときは、不当解雇として、解雇が無効となる可能性が高くなります。

2)メンタルヘルスによる社員の解雇で裁判所が重視しているのは?

具体的には、以下の事情を考慮しながら、従業員や会社の実情、実態にあわせて、解雇が有効であるか、不当であるかが判断されています。
①会社が社員に、病院に通院するなどの改善点を指摘していたか?
②メンタルヘルスの改善のための機会を社員に提供したのか?
③復職後の仕事の内容・時間の緩和措置などが十分であったか?
④社員に、解雇について、最後通告などの警告を行っていたのか?

3)メンタル問題で、不当解雇を争うには?

うつ病などの精神疾患などを理由とする解雇が不当解雇と判定されたときは、社員は会社に対し、復職請求や、解雇されたら、復職や和解日までの給与の支払いを求めることができます。

①弁護士による会社との交渉

弁護士が会社に処分や解雇の撤回、復職や未払い給与の支払いを話し合いで解決する方法です。

②労働審判

上記の交渉が進まないときは、労働審判を申し立てます。
原則として3回の期日で終了し、その期日内で和解案が提案されて決着しています。

③労働裁判

交渉や労働審判が不調のときは、労働裁判を提訴できます。

解雇無効に伴う労働審判や裁判では、担当弁護士の専門的知識と経験則がモノを言います。
ホームページを盲目的に信用するのではなく、NPOジコイチに、0120-716-110電話相談してください。無料で、有能な弁護士を紹介しています。