Q4 サービス残業の強制について

A サービス残業(サビ残)とは、労働基準法で定めた残業代を支払わないで、社員に残業をさせることです。
社員から未払残業代の請求を受けたときは、会社には2年間分を遡及して支払う義務が生じます。

サービス残業の強制について

会社が、サービス残業の実態を知りながら措置を講じなかったときは、労働基準法に違法する行為として労働基準監督署から是正勧告、違法な勤務実態の是正を求める警告を受けます。
この警告を無視して措置を講じなかったときは、労基法違反の疑いで検察庁へ書類送検され、最悪では、労基法違反で会社や代表者が罰せられる可能性もあります。

是正勧告で法違反としてよく指摘される事項は、
①残業代の不払い
②就業規則の未作成
③雇用時における労働条件の書面による明示違反
④法定労働時間、変形労働時間制に関する違反、36協定未作成など
⑤賃金台帳への労働時間の未記入

特に、残業代の不払いは、労働基準監督署としても是正に力を入れています。

クロネコのヤマト運輸では、2016年、横浜支店がドライバーの残業代の一部を支払わなかったとして労働基準監督署から是正勧告を受け、2年分で約57万円を支払っています。
2017-4-19ヤマトホールディングスは、4万7000人の社員を対象に、未払い残業代として190億円を支払うと発表、未払い残業代190億円、これに伴う社会保険料の追加負担として30億円を計上、営業利益は340億円、純利益は190億円となり、ともに前年実績から半減しました。

首都圏が地盤のスーパーいなげやでも、2014-6-5に男性店員が脳梗塞で死亡したのは、長時間労働による過労が原因であったと、さいたま労働基準監督署が過労死の認定をしています。
タイムカードでは、発症前の4カ月平均の時間外労働時間は、75時間53分であり、残業規制の上限である2~6カ月平均で、1カ月がいずれも80時間以上、単月で100時間未満でしたが、弁護士は、警備システムの管理記録からサービス残業を見抜き、過労死認定につなげました。
つまり、タイムカードを打刻する前の早出残業と打刻してからのサービス残業についても時間外労働として認めさせており、この有能な弁護士の立証活動には、頭が下がります。